目次
概要
pestudio Pro は、Windows 実行ファイル(Portable Executable/PE ファイル)専用の高度な静的解析ツールです。ファイルを実行することなく、その構造・メタデータ・バイト列を検査することで、セキュリティチームや IT 部門は疑わしいプログラムを安全かつ数分でトリアージできます。
2009 年の登場以来、世界各国の CERT、SOC、DFIR チームに「マルウェア調査の第一歩」として採用され続けています。EXE、DLL、SYS、CPL など任意の PE ファイルをドラッグ&ドロップすれば、ヘッダー、インポート/エクスポート、TLS コールバック、文字列、リソース、埋め込みペイロード、.NET メタデータなど数百項目を即座に抽出し、色分けされたヒューリスティック「インディケーター」で異常を強調表示します。オプション設定により、ファイルの MD5 ハッシュのみを用いた VirusTotal 既存検査結果の取得や、MITRE ATT&CK® へのマッピングも可能です。
解析は完全な静的処理であり、ファイルを実行しないため感染リスクはゼロ。サンドボックス基盤の維持も不要です。そのため pestudio Pro は、インシデント対応の初期調査、メール添付ファイルのスクリーニング、ソフトウェアサプライチェーン検証、脅威ハンティングなどにおいて、従来数時間を要した初動を数分に短縮します。
プロフェッショナル版はユーザー単位・1 年間の更新ライセンス(期間中アップデート無料)。バッチ/CLI モード、XML レポート出力、インディケーターの色分け表示、.NET 内部解析、ATT&CK マッピングなど、無料版にはないエンタープライズ機能を搭載しています。直感的なタブ UI と明快なアイコンにより、逆アセンブリの専門知識がない担当者でも容易に結果を理解できます。
製品概要と価値提案
課題
悪意ある実行ファイルは、メール、サプライチェーンの更新プログラム、ドライブバイダウンロードなど、あらゆる経路から到達します。実行前に安全・迅速に内容を検査できなければ、被害は拡大します。
解決策 — pestudio Pro
pestudio Pro は Windows PE ファイルの静的解析 に特化し、次の価値を提供します。
主要メリット | 詳細 |
---|---|
安全な無実行解析 | ファイルを実行せずディスク上で読み取るのみ。感染リスクなし、サンドボックス不要。 |
一目で分かる深い可視化 | ハッシュ、ヘッダー、インポート、文字列、リソース、TLS コールバック、エントロピーなどを抽出し、異常を色分け表示。 |
トリアージ時間を大幅短縮 | ドラッグ&ドロップまたはスクリプト実行で即結果。封じ込め判断を数分で実施。 |
低い学習コスト | GUI のタブ構成とツールチップにより、逆解析の専門知識がなくても理解可能。 |
実績ある信頼性 | 2009 年以降、世界の CERT・SOC が導入。 |
プロ版限定機能 | バッチ&CLI、XML 出力、ATT&CK マッピング、.NET 内部表示、色分けインディケーターなど。 |
サンドボックスとの違い
動的解析サンドボックスは強力ですが、遅く、リソースを消費し、マルウェアに回避される可能性があります。一方、pestudio Pro の静的解析は瞬時で回避不可能です。多くのアナリストがまず pestudio で概要を把握し、必要ならサンドボックスへ進む二段構えを採用しています。
製品紹介
解析フロー
- パース – PE ヘッダーやセクション情報を読み取り、アーキテクチャー・コンパイル時刻・エントリポイント・セキュリティフラグを把握。
- 抽出 – インポート/エクスポート、文字列、Rich ヘッダー、リソース、オーバーレイ、.NET メタデータを収集。
- ヒューリスティック評価 – 高エントロピー、Ordinal 参照、偽装セクション名、異常 TLS コールバック、ハードコード URL/IP、署名欠如などを判定し「インディケーター」に分類。
- 外部情報付加(任意) – MD5 ハッシュのみを用いて VirusTotal 既存検査結果を取得し、ATT&CK 技術へマッピング。
GUI は「Indicators」「VirusTotal」「Imports」「Headers」「Resources」「Strings」「Certificates」「.NET」などのタブで整理され、XML レポートもワンクリックで生成。CLI 版 「pestudiox.exe」 はメールゲートウェイや CI/CD、ハンティングスクリプトへ統合できます。
プロ版独自機能
- バッチ/CLI 処理 — 大量ファイルの自動スキャンや SOAR/SIEM 連携が可能。
- 色分けインディケーター — 赤/黄/緑アイコンで重大度を即把握。
- XML レポート — 構造化データを他ツールへ取り込み、チケット添付にも最適。
- MITRE ATT&CK 対応 — API パターンから攻撃技術 ID を自動付与。
- 強化された .NET 解析 — 名前空間・ストリーム表示、埋め込みリソースのダンプ。
- 柔軟なヒューリスティック設定 — ホワイトリストや独自署名でノイズ除去を最適化。
導入による利点
- 検知と対応の高速化
初動調査を数時間→数分に短縮し、感染拡大前に隔離可能。 - 検出精度の向上
シグネチャ AV が漏らす新種や難読化マルウェアもヒューリスティックで可視化。 - 安全な解析環境
実行しないため、通常ワークステーションでも安全にマルウェアを扱える。 - アナリスト効率化
複数ツールを pestudio Pro 1 つで代替し、切り替えの手間を削減。 - コスト削減
トリアージ時間 75 % 削減で年間数百時間分の人件費を節約。 - 脅威の文脈化
VirusTotal 結果と ATT&CK マッピングで優先度判断と経営層説明が容易。 - コンプライアンス証跡
XML レポートが「実行ファイルを事前検査した」証拠となり、ISO 27001 等に対応。 - ワークフロー統合
バッチ出力をメールフィルタや DevSecOps パイプラインへ組み込み可能(定義ファイルの外部利用はライセンス上の許可が必要)。
代表的なユースケース
1. SOC インシデントレスポンス
アラート対象ファイルを読み込み、エントロピー・キーロギング API・VirusTotal 陽性を即確認。10 分で隔離判断。
2. メール添付スクリーニング
ゲートウェイが EXE/DLL を CLI 版へ送信し、重大インディケーター検出で自動隔離。ゼロデイランサムウェアを阻止。
3. サプライチェーン検証(CI/CD)
ビルドパイプラインが外部コンポーネントを pestudiox.exe で解析。署名欠如や怪しいインポートがあればビルド失敗。
4. 脅威ハンティング
500 件のハニーポットサンプルを夜間バッチ解析し、珍しい TLS コールバックを持つ 5 件を深掘り対象に抽出。
5. IT ヘルプデスクの即席チェック
未知のユーティリティをドラッグ&ドロップ。緑インディケーター+有効署名なら利用許可、赤ならブロック。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無料版との違いは?
無料版は私的・非商用利用のみで、バッチ/CLI・XML 出力・色分けインディケーター・ATT&CK マッピング・.NET 解析などがありません。企業・官公庁は必ず pestudio Pro をご使用ください。
Q2. ファイルを実行・アップロードしますか?
いいえ。解析は静的のみ。外部通信は MD5 ハッシュを使った VirusTotal 照会(任意)だけで、ファイル本体は送信しません。
Q3. 対応ファイル形式は?
Windows PE ファイル(EXE、DLL、SYS、CPL、OCX、SCR、.NET バイナリ)32/64bit。PDF や Office ドキュメントなど非 PE 形式は対象外ですが、PE 内部に埋め込まれたものは検出します。
Q4. 自動化方法は?
CLI 版 「pestudiox.exe」 をスクリプトやパイプラインから呼び出し、XML 出力を解析して SIEM や SOAR へ連携できます。
Q5. AV やサンドボックスの代替ですか?
相互補完です。静的解析で即時かつ回避不能の可視化を得て、必要に応じて動的解析で挙動を確認してください。
メーカーの製品サイト
https://www.winitor.com/
【言語】英語