目次
- 1. サマリー版
- 2. isee systems システムダイナミクスソフトウェア:製品概要と価値提案
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3. 製品紹介
- 3-1. isee systems と Stella/iThink プラットフォームとは?
- 3-2. Stella Architect – フラッグシップのモデリング・シミュレーション・インターフェースツール
- 3-3. Stella Professional – 動的モデリング、政策分析、戦略立案
- 3-4. Stella Online / Stella Professional Online – Web ベースのモデリングとコラボレーション
- 3-5. Stella Designer – シミュレーションダッシュボード向け UI 専用ツール
- 3-6. Stella Simulator – XMILE 対応シミュレーションエンジン
- 3-7. iThink – ビジネス志向のシステム思考ツール
- 4. 導入メリット
- 5. ユースケース
- 6. 競合との差別化
- 7. FAQ(よくあるご質問)
1. サマリー版
isee systems は、時間とともに変化する複雑なビジネスシステムを理解し、より良い意思決定を行うためのシステムダイナミクスモデリングツール群を提供しています。ソフトウェアは Stella / iThink というビジュアルモデリング環境を核としており、「ストック」「フロー」「フィードバックループ」といった構造でシステムを表現します。これにより、技術者だけでなくビジネスユーザーにとっても、動的な振る舞いを直感的に理解しやすくなります。
Stella Architect、Stella Professional、Stella Online、Stella Designer、Stella Simulator、iThink の各種ライセンスを取り扱い、デスクトップ、Web、サーバーサイドまで幅広い用途をカバーします。Stella Architect はフラッグシップ製品として、強力なモデリング・シミュレーション機能とインターフェース設計機能を統合し、インタラクティブなシミュレーションダッシュボードを作成・公開できます。Stella Professional は動的モデリングや政策分析、戦略立案に重点を置き、リスクのない環境でシナリオを検証できる豊富な分析環境を提供します。
ブラウザベースでの作業やコラボレーションには、Stella Professional Online が Web から利用可能なモデリング環境を提供し、モデルの共有やレビューを容易にします。Stella Designer は既存モデルの上に洗練されたインタラクティブなインターフェースを構築することに特化しており、それらを Web やデスクトップ、モバイル向けに展開できます。高性能な計算や自動化ワークフロー向けには、XMILE 対応のコマンドラインエンジンである Stella Simulator が、外部アプリケーションやスクリプト、HPC 環境からのモデル実行を実現します。iThink は同じ基盤技術を用いたビジネスユーザー向けツールとして、システム思考や戦略シミュレーションに広く利用されています。
表計算モデルや独自開発コードと比べて、isee systems のツールは「見える化」「学習しやすさ」「コミュニケーション」に重点を置いています。ビジュアルなモデル表現は初心者でも理解しやすく、研究用途とビジネス用途の双方で活用されています。そのため、キャパシティ計画、サプライチェーン、予算策定、人員計画、政策インパクト分析など、技術的な制約と経営課題を橋渡しする情報システム部門に特に適しています。
導入効果としては、モデル開発サイクルの短縮、複雑なシステムに対するステークホルダーの理解向上、予算やリソースを投下する前に「もし〜なら」を仮想的に検証できる点が挙げられます。Stella Architect と Designer を組み合わせれば、IT 部門がマネジメント向けの直感的なダッシュボードを公開しつつ、背後のモデルや数式は専門家がガバナンスを効かせた状態で管理する、といった運用も可能です。各製品の詳細やライセンス形態、導入形態については、以下のセクションをご参照ください。
2. isee systems システムダイナミクスソフトウェア:製品概要と価値提案
現代の組織が直面するシステムは、マルチティアのサプライチェーン、変動する需要、複数チャネルのサービス、変化する規制など、相互に複雑に絡み合っています。従来型の表計算や静的レポートでは、フィードバックループやタイムラグ、非線形効果を十分に表現することが難しくなっています。
isee systems は、この課題に対して Stella / iThink ファミリーを中心としたシステムダイナミクスのモデリング・シミュレーション製品群で応えます。これらのツールにより、情報システム部門、企画部門、意思決定者は、自社システムが時間とともにどのように振る舞うかを可視化・シミュレーションし、その結果を関係者と共有できます。
以下のソフトウェア製品のライセンスを提供しています。
- Stella Architect
- Stella Professional
- Stella Online
- Stella Designer
- Stella Simulator
- iThink
これらを組み合わせることで、デスクトップでのモデル設計から、Web ダッシュボードによる共有、自動化されたサーバーサイド実行まで、一連のワークフローを一貫したプラットフォームで実現できます。
3. 製品紹介
isee systems と Stella/iThink プラットフォームとは?
isee systems は、「モデリングとシミュレーションソフトウェアを通じて、世界への理解を深めること」を掲げるソフトウェアベンダーであり、Stella というシステムダイナミクス環境を中核とした製品ファミリーを展開しています。
システムダイナミクスをコアとしたアプローチ
モデルはストック、フロー、補助変数、フィードバックループとして表現されます。
この構造により、成長・減衰・振動・制約といった時間依存の挙動を捉えやすくなります。
ダイアグラムベースのビジュアルモデリング
Stella をはじめとする現在のシステムダイナミクスツールでは、モデルをダイアグラムとして描きつつ、その背後に形式的な数式を保持します。
これにより、技術担当者とビジネス部門が同じモデルを見ながら議論しやすくなります。
複数のモデリングパラダイムをサポート
Stella ソフトウェアは、システムダイナミクスだけでなく、離散事象、エージェントベースなど複数のモデリング手法をサポートし、同一環境内でハイブリッドなモデルを構築できます。
デスクトップ・Web・サーバーをカバーする製品構成
・デスクトップアプリケーション:Stella Architect、Stella Professional、iThink
・Web 環境:Stella Online / Stella Professional Online
・コマンドラインエンジン:バッチ・HPC 実行向け Stella Simulator
このレイヤードな製品戦略により、まずは個人によるデスクトップでのモデリングからスタートし、その後エンタープライズ規模の展開やシステム統合へと段階的にスケールアップすることができます。
Stella Architect – フラッグシップのモデリング・シミュレーション・インターフェースツール
Stella Architect は、ベンダーにより「プロフェッショナルなシミュレーションとプレゼンテーションを作成するための決定版モデリングツール」と位置付けられており、モデルの設計・構築・公開をシームレスに行えます。
主な機能は次の通りです。
インタラクティブなシミュレーションとプレゼンテーション
ユーザーが操作できるコントロールと時間変化するグラフを組み合わせ、「フライトシミュレーター」的な学習環境やトレーニングアプリケーションを構築できます。
マルチチャネルへのインターフェース展開
作成したインターフェースを Web、デスクトップ、モバイルデバイスへ公開でき、非技術者でもモデルと対話しやすくなります。
モデリングを加速するアセンブリ
再利用可能なモデル断片(アセンブリ)をブロックとして組み合わせることで、モデル構築の効率化と標準化を図れます。
サイクルタイムのモデリング
業務プロセスの処理時間、キュー、アクティビティなどのサイクルタイムを精度高くモデル化できます。
感度分析機能
パラメータの幅を探索し、テコ入れポイントや最適条件を特定するための感度分析を行えます。
Architect には、ストック&フロー図、数式編集、シナリオ管理、グラフや表、因果ループ図などによる結果の可視化といった Stella のモデリング環境一式も含まれています。
組織内での典型的な役割
- モデル開発とインターフェース設計の両方を担う担当者の中核ツール
- シミュレーションダッシュボードを社内の幅広いユーザーに配布する計画がある場合に推奨
- 作成したコンテンツを Stella Online で共有したり、Stella Simulator にエクスポートして運用環境に組み込む際のハブとして機能
Stella Architect のエディション構成やオプションの詳細については、社内の比較表や標準に基づいて整理すると検討しやすくなります。
Stella Professional – 動的モデリング、政策分析、戦略立案
Stella Professional は、インターフェース設計よりもモデリングと分析に重点を置いた製品です。動的モデリング、政策分析、戦略立案のためのツールとして位置付けられ、モデル構築と結果分析を直感的に行える環境を提供します。
主なポイントは以下の通りです。
直感的なモデリングインターフェース
・ストック、フロー、コンバータを用いたドラッグ&ドロップのモデル構築
・関係性やパラメータを記述するための分かりやすい数式エディタ
結果の動的な探索
・時系列グラフや表、感度分析ツールを用いた「もし〜なら」シナリオの検証
リスクのない実験環境
・実際の業務に影響を与えずに、政策変更や戦略代替案を安全に試行可能
互換性・連携性
XMILE や表形式データとの連携をサポートし、他ツールとのインポート/エクスポートや相互運用を実現します。
組織内での典型的な役割
- 主にレポートや静的なグラフとして結果を共有する、モデラーやアナリストの「作業用ツール」
- IT、財務、オペレーション部門における内製の計画モデルやキャパシティモデルの構築に適合
- Stella Designer や Architect と組み合わせることで、Professional で構築したモデルを後からリッチなインターフェースでラップ可能
高度なインターフェースオーサリング機能よりも、集中したモデリング環境を重視する場合、Stella Professional は効率的な選択肢となります。
Stella Online / Stella Professional Online – Web ベースのモデリングとコラボレーション
Stella Professional Online は Stella Professional の Web 版に相当し、ブラウザ上で完結する動的モデリングツールです。
ベンダー情報に基づく主な特徴:
- モダンなブラウザから Stella Professional の主な機能にアクセス可能
- 既存モデルのアップロードや、オンライン上での新規モデル構築に対応
- モデルの共有やレビューが容易で、コラボレーションに適した環境
- ユーザーがシミュレーションコンテンツやアセンブリを公開・共有するリポジトリとの連携
組織内での典型的な役割
- 地理的に分散したチームや研修プログラム、BYOD 環境での利用
- デスクトップにソフトウェアをインストールできないユーザーへのブラウザベースのアクセス手段
- パワーユーザー向けのデスクトップライセンスを補完し、ライトユーザーがブラウザからモデルにアクセスできる構成
エンタープライズ展開を計画する際には、「モデル構築=デスクトップ(Architect/Professional)」「レビュー・コラボレーション=Stella Online」という役割分担がよく採用されます。
Stella Designer – シミュレーションダッシュボード向け UI 専用ツール
Stella Designer は、既存モデルの上にプレゼンテーションスタイルのユーザーインターフェースを構築することに特化した専用ツールです。作成したインターフェースは、Web、デスクトップ、モバイルデバイス向けに公開できます。
主な特徴:
役割分担を前提とした設計
・モデラーは Stella Professional や Architect でコアモデル(ロジックと数式)を維持
・インターフェース担当者は Stella Designer を用いて、ダッシュボードやストーリーボード、インタラクティブな実験画面を設計
プロフェッショナルなプレゼンテーション品質
・レイアウト、ウィジェット、ナビゲーションに注力し、説得力と訴求力の高いシミュレーションアプリケーションを構築
国内の製品紹介では、Stella Designer は「シミュレーションモデルのためのユーザーインターフェース作成ツール」として紹介されており、数式やモデル構造よりもインターフェース構成にフォーカスしたツールとして位置付けられています。
組織内での典型的な役割
- トレーニングシミュレータや経営ダッシュボードを構築する UX・研修担当者に最適
- すでにモデル資産が存在し、それを経営層や現場に向けて広く伝えるフェーズに入った組織に特に有効
- シミュレーションベースのトレーニングや意思決定支援アプリをポートフォリオとして展開する場合、Stella Designer と Stella Simulator を組み合わせたり、Stella Architect からコンテンツを公開するといった構成が考えられます。
Stella Simulator – XMILE 対応シミュレーションエンジン
Stella Simulator は、コマンドライン利用やサーバー導入、デスクトップアプリケーションへの組み込みを目的としたスタンドアロンの XMILE 対応シミュレーションエンジンです。
公式リソースの説明をまとめると、次のような特徴があります。
- Stella で作成されたモデルを、コマンドラインアプリケーションとして実行
- バッチ処理やスクリプト、より大きなシステムへの組み込みに適した設計
- オープンなシステムダイナミクスモデル標準である XMILE に対応し、モデルの共有・再利用を容易にする
組織内での典型的な役割
- ジョブスケジューラや API からの呼び出し、HPC 環境などからシミュレーションを実行
- エンタープライズの分析パイプラインや「What-if エンジン」の裏側にシステムダイナミクスモデルを組み込む際の基盤
- GUI オーバーヘッドなしで、パラメータスイープや大規模なシナリオ実行を行うバッチ用エンジン
情報システム部門にとって Stella Simulator は、モデリングチームと本番システムをつなぐ架け橋となり、成功したモデルを「産業化」する際の重要なコンポーネントとなります。
iThink – ビジネス志向のシステム思考ツール
iThink は、Stella と同じビジュアルなシステムダイナミクス言語をベースにしたビジネスユーザー向けツールとして長年マーケティングされてきました。
ベンダー情報および一般的な解説に基づくと、主な特徴は以下の通りです。
- Stella と同じストック&フローのモデリングパラダイムを採用
- ビジネス戦略、オペレーション、組織学習などにおけるシステム思考の実践に広く利用
- 戦略シミュレーションのための複雑なモデルや魅力的なインターフェースを構築するための機能を提供
組織内での典型的な役割
- iThink のブランドやテンプレートを好むマネジメントチームやコンサルタント向け
- 戦略ワークショップ、ポリシーゲーム、シナリオプランニングなどで活用
- 新規導入では最新の Stella ラインへの標準化が進む一方、既存の iThink モデルや研修プログラムを継続利用するケースも多く見られます。
4. 導入メリット
戦略・業務面でのメリット
isee systems のソフトウェアを導入することで、組織のさまざまなレイヤーで価値を得ることができます。
複雑なシステムの理解向上
システムダイナミクスモデルは、政策・タイムラグ・フィードバックループがどのように振る舞いを生み出しているかを可視化します。
安全な実験・政策テスト
Stella Professional や Architect を用いることで、現実世界への影響を与えずに政策や施策を試行できます。
独自コードと比べたモデル開発の迅速化
ダイアグラムベースのモデリングと組み込みの数式処理により、低レベルのコーディング作業を大幅に削減できます。
非技術者とのコミュニケーション向上
視覚的なダイアグラムやインタラクティブなダッシュボードにより、経営層や現場スタッフにとってもモデルが理解しやすくなり、議論がスムーズになります。
XMILE とアセンブリによるモデル再利用
オープン標準への対応や再利用可能なコンポーネントの活用により、モデルの相互運用性と標準化を促進できます。
情報システム部門向けのメリット
情報システム・IT 部門にとっての具体的なメリット:
既存データとの構造化された連携
Stella 系ツールは、データの出力・取り込み機能を備えており、表形式データなどとの連携を通じて既存の BI パイプラインと組み合わせやすい構造を持ちます。
アーキテクチャ設計の明確化
・モデル設計用のデスクトップツール
・コラボレーション用の Web ツール
・自動化用のサーバーエンジン
という役割分担により、セキュリティやガバナンス要件を踏まえたシステム構成を設計しやすくなります。
場当たり的な表計算への依存度低減
システムダイナミクスモデルを「単一の真実の源泉」として活用することで、暗黙の前提やロジックが埋もれた表計算を乱立させるリスクを低減できます。
スケーラブルな展開
Stella Online や Stella Simulator を組み合わせることで、個人レベルの分析から共有型のエンタープライズサービスへと段階的にスケールさせつつ、コアとなるモデリングプラットフォームを統一できます。
社内ドキュメントを作成する際には、isee systems のツール群を既存の DWH・BI・機械学習基盤を補完する「専門的な分析レイヤー」と位置づけると整理しやすくなります。
経営層・事業部門向けのメリット
ビジネス側のステークホルダーにとっての主な利点:
シナリオプランニングと「What-if」分析
需要ショック、価格変更、政策介入、キャパシティ変更などを仮想空間で簡単に試し、長期的な影響を確認できます。
部署横断の共通理解形成
インタラクティブなシミュレーションは、財務・オペレーション・人事・IT といった部門間の暗黙の前提を「見える化」し、認識合わせに役立ちます。
継続的改善と政策設計の支援
短期的な KPI だけでなく、長期的なダイナミクスを踏まえた政策・施策の改善サイクルを回しやすくなります。
教育・社内研修でのメリット
Stella と iThink は教育分野でも長い利用実績があり、システム思考の教育や理解促進に適していると評価されています。
この特性は企業内にも直接応用できます。
- スタッフが政策や施策を試し、その結果を観察しながら学ぶ「トレーニングシミュレータ」を構築
- Stella Architect や Designer で作成したインターフェースを、新任マネージャーやリーダー向けのオンボーディング教材として活用
- 暗黙知になりがちな業務ロジックや制度設計をモデルとして形式知化し、長期的にメンテナンス可能な形で保存
5. ユースケース
以下は、isee systems のソフトウェアがどのような場面で活用できるかを示す代表的なユースケースです。いずれも特定の導入事例ではなく、導入後に想定される一般的な適用例です。
企業計画・財務戦略
典型的な課題
複数年の事業計画では、需要の成長、キャパシティ、投資タイミング、財務制約などを考慮する必要があります。単純な表計算ベースの予測では、キャパシティ制約による成長の頭打ちや、学習効果によるコスト低下などのフィードバックを十分に再現できないことがあります。
Stella Architect / Professional を用いた解決イメージ
次のような要素を結びつけたシステムダイナミクスモデルを構築します。
- 営業パイプライン → 受注 → 売上
- キャパシティ・投資 → サービスレベル・リードタイム
- コスト・利益率・キャッシュフロー
Stella Professional を用いて、例えば以下のような政策を検証します。
- 「設備投資を 1 年延期すると、利益とキャッシュフローはどう変化するか」
- 「価格戦略の変更に、利益はどの程度敏感か」
Stella Architect や Designer を使い、経営層向けダッシュボードとしてモデルをラップし、スライダーやシナリオ選択を通じて直感的に操作できるようにします。
期待される効果(概念レベル)
- オーバーシュートや振動、遅延を含むより現実的な予測
- 投資タイミングについての合意形成の迅速化
- 将来の再利用や監査にも耐えうる、前提や政策ルールの構造化されたドキュメント化
サプライチェーン・在庫最適化
典型的な課題
多段階のサプライチェーンでは、リードタイムの変動や需要シグナルの歪み(いわゆるブルウィップ効果)により、欠品や過剰在庫が発生しやすくなります。静的なツールだけでは全体像を把握しづらい領域です。
Stella ツールを用いた解決イメージ
- 工場、倉庫、小売拠点を在庫と注文フローのストック&フローとしてモデル化
- リードタイム、安全在庫ポリシー、キャパシティ制約を組み込む
- 再発注点やリードタイム改善の組み合わせを感度分析で探索
期待される効果
- 欠品や過剰在庫の原因となるポリシーの理解が深まる
- リードタイム短縮と安全在庫調整など、効果的なテコ入れポイントの特定
- ロジスティクス、営業、財務など複数部門にまたがる意思決定の支援
人員・キャパシティ計画
典型的な課題
コンタクトセンター、IT 運用、医療機関、公共サービスなどでは、採用・研修・離職・業務量のバランスを取りながら、サービスレベルを維持する必要があります。
解決イメージ
- 人員数をストックとして、採用、研修完了、離職をフローとしてモデル化
- 業務量、サービスレベル、残業がストレスや離職率に与える影響を組み込む
- Stella Architect のダッシュボードで、採用・教育・配置戦略の長期的影響を可視化
期待される効果
- 「現在の採用施策が数カ月後のサービスレベルにどう影響するか」というタイムラグの見える化
- 人事・教育予算の根拠となるエビデンスの提示
- 取締役会レベルでの意思決定を支えるシナリオ比較
IT サービスマネジメント・インフラ計画
典型的な課題
IT 部門は、サーバー・ネットワーク・クラウドといったインフラや、ヘルプデスク・アプリケーションサポートといったサービスについて、変動する需要やインシデント負荷に対応したキャパシティ計画を立てる必要があります。
解決イメージ
Stella Professional を用いて、次のような関係を持つモデルを構築します。
- インシデント流入:ユーザー数やリリース頻度に依存
- 解決キャパシティ:人員・ツール・自動化レベルに依存
- バックログ:ユーザー満足度や将来の需要に影響
コストデータを表形式で取り込み、IT サービスのコスト構造をモデルに統合します。必要に応じて、Stella Architect や Online を使って、サービスマネージャー向けの簡易ダッシュボードとして公開します。
期待される効果
- IT キャパシティとビジネス需要のより良い整合
- 自動化投資や人員増強の効果を定量的に評価
- CIO、IT 運用、財務部門の間で共通認識を持った議論を促進
サステナビリティ・エネルギー・ESG シナリオ分析
システムダイナミクスは、エネルギーシステムやサステナビリティ分野で広く利用されており、Stella もこうした研究文脈で活用されてきました。
企業内での代表的なシナリオ例
- 省エネ施策の有無による CO₂ 排出の長期トレンド
- 再生可能エネルギー導入や蓄電の組み合わせが需給バランスに与える影響
- 廃棄物発生とリサイクル政策の効果
Stella Architect のインターフェース機能を活用することで、サステナビリティ担当部門は、経営陣向けにインタラクティブな ESG ダッシュボードを提供し、目標値コミット前に各種施策の長期的影響を体験的に理解してもらうことができます。
6. 競合との差別化
表計算・一般的な BI ツールとの比較
多くの組織では、計画業務の多くを表計算ソフトや一般的な BI ツールに依存しています。isee systems のソフトウェアは、次の点でこれらと差別化されています。
明示的なフィードバック構造
ストック、フロー、因果リンクとして構造を表現することで、表計算では数式の中に埋もれがちなフィードバックループを明示的に示すことができます。
時間ステップシミュレーションを前提とした設計
Stella のモデルは時間軸に沿ったシミュレーションを前提に設計されており、表計算のように時間ステップを独自に組み立てる必要がありません。
シナリオ管理と感度分析
パラメータスイープやシナリオセットを扱うツールが標準搭載されており、手作業によるコピー&ペースト作業を削減できます。
インタラクティブなインターフェースによるコミュニケーション
Stella Architect や Designer を用いることで、専用の開発を行わずとも、ダッシュボード的な体験をエンドユーザーへ提供できます。
汎用プログラミング言語による自作シミュレーションとの比較
汎用プログラミング言語を用いてシミュレーションエンジンを自作することも可能ですが、その場合は高度なプログラミングスキルと相応の開発工数が必要になります。これに対して Stella / iThink は、次のような特徴を持ちます。
- ドメイン専門家がモデリングに参加しやすいビジュアル環境を提供
- システムダイナミクス固有の構造(ストック&フロー、フィードバックループなど)を標準機能として備え、共通的な処理の実装負担を軽減
- XMILE 対応、表形式データ連携、インターフェースコンポーネントなど、実務上よく求められる機能をあらかじめパッケージ化
多くの企業プロジェクトにおいては、こうした「構造化された柔軟性」を持つプラットフォームを利用する方が、一から専用エンジンを開発するよりもコスト効率に優れるケースが少なくありません。
システムダイナミクス系ツール群の中での位置づけ
システムダイナミクス系ソフトウェアの中で、Stella は教育用途から研究・ビジネス用途まで幅広く使われてきた歴史と、使いやすさへの注力で知られています。
isee systems の製品ポートフォリオは、さらに次の特徴を加えています。
包括的な製品レンジ
デスクトップ、Web、サーバーエンジンまでを網羅し、一つのプラットフォームでエンドツーエンドのワークフローを実現可能。
コミュニケーション重視の設計思想
Architect や Designer は、バックオフィスのモデリングにとどまらず、「伝えるためのインターフェース」を構築することを明確な目的として設計されています。
数式的なニッチ機能よりも、「使いやすさ」「コミュニケーション」「統合されたプラットフォーム」といった評価軸を重視する場合、isee systems は有力な候補となります。
7. FAQ(よくあるご質問)
Q1. 「システムダイナミクス」とは何ですか?なぜ自社に関係があるのでしょうか?
A. システムダイナミクスとは、フィードバックループやタイムラグを持つ複雑なシステムをモデル化・シミュレーションするための方法論であり、大学・研究機関・企業・行政などさまざまな分野で活用されています。成長・飽和・政策の副作用など、長期的なダイナミクスが重要となる場面で特に有効です。多くの企業で重要となる長期的な成長や政策の影響分析と相性がよいため、企業経営や業務改善にとっても高い関連性があります。
Q2. Stella Architect と Stella Professional の違いは何ですか?
A. どちらも同じモデリングエンジンを共有していますが、役割が異なります。Stella Professional はモデル構築と分析に特化したツールであり、モデラーやアナリストが使う「作業用環境」として位置づけられます。一方、Stella Architect は Stella Professional の機能に加え、高度なインターフェース設計と Web・デスクトップ・モバイルへの配信機能を備えており、エンドユーザー向けのシミュレーションアプリケーションやダッシュボードを構築・配布する用途に向いています。
Q3. どのような場合に Stella Online / Stella Professional Online を検討すべきですか?
A. 次のようなニーズがある場合に、オンライン版の利用が有効です。
- 地理的に分散したチームや在宅勤務環境から、ブラウザだけでモデルにアクセスしたい
- モデルに時々触れるライトユーザーに対して、デスクトップ版をインストールさせたくない
- モデルをオンラインで共有し、レビューや共同編集を行いたい
これらのニーズがある場合、デスクトップ版を利用するモデラーと、Stella Online を利用するレビュアー・コラボレーターという役割分担が有効です。
Q4. XMILE とは何ですか?なぜ重要なのですか?
A. XMILE はシステムダイナミクスモデルを表現するための XML ベースのオープン標準であり、ツール間でモデルを共有・再利用することを目的としています。Stella Simulator を含む Stella 系ツールが XMILE に対応していることで、モデルを他システムや将来のツールへ移行したり、他組織と共有したりする際の自由度が高まります。
Q5. これらのツールを使うのにプログラミングスキルは必要ですか?
A. 基本的な利用において、従来型のプログラミングスキルは必須ではありません。モデルはダイアグラムとして構築し、数式は専用のエディタで記述します。ビジュアルな構造により、モデリング初心者でも比較的短時間でツールに習熟できる一方で、上級ユーザーにとっても複雑なモデルの構築が可能な柔軟性を備えています。
Q6. iThink は Stella とどのような関係にありますか?
A. iThink は Stella と同じシステムダイナミクス言語とアーキテクチャを共有しつつ、ビジネスユーザー向けとして歴史的に展開されてきた製品です。既存の iThink モデルを継続的に利用している組織も多く、新規プロジェクトでは最新の Stella ラインに統一するか、既存の iThink 資産を拡張するかを、社内標準や運用ポリシーに応じて選択できます。
Q7. 既存のデータや分析基盤と連携できますか?
A. Stella ソフトウェアは、表形式データのインポート/エクスポート機能を備えており、既存の BI や分析ツールと併用することができます。大規模なバッチ実行や自動化が必要な場合は、Stella Simulator のコマンドライン実行や XMILE 対応を活用し、スクリプトやバッチプロセス、外部プラットフォームとの連携を構築できます。
Q8. 実際のプロジェクトや研究で使われた実績はありますか?
A. Stella / iThink は、教育・研究から実務プロジェクトまで幅広い領域で利用されてきました。エネルギーシステム、農業、ヘルスケア、公共政策など、多様な分野での応用が報告されており、その汎用性と表現力が評価されています。
Q9. 自社にはどの製品の組み合わせが適していますか?
A. 一般的には、次のようなパターンがよく採用されます。
- モデル構築担当者 → Stella Professional または Stella Architect
- インターフェース設計・研修担当 → Stella Architect または Stella Designer
- ブラウザのみで利用するユーザー → Stella Online / Stella Professional Online
- 自動化・システム連携 → Stella Simulator
- 既存の戦略・学習用モデルを利用中 → iThink
実際の選択にあたっては、自社の IT ポリシー、ユーザー構成、運用体制を踏まえた上で、上記のパターンを組み合わせて検討するとスムーズです。
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【言語】英語


