サマリー

RealVNC Connect は、Windows／macOS／Linux／Raspberry Pi OS／Android／iOS（閲覧のみ）まで、ほぼすべてのデスクトップとモバイル端末に安全にリモート接続できるエンタープライズ向けプラットフォームです。セッションはグローバルクラウドを経由するか、Premium／Enterprise ライセンスではローカル LAN でのピアツーピア接続も可能です。全通信は AES-128／256 bit E2E 暗号化（AES-GCM＋PFS） と 多要素認証 で保護され、きめ細かなアクセス権管理と監査ログ、SAML／SSO 連携（Enterprise）が組織の統制を担保します。

バージョン 8 では Viewer と Server を統合した新 UI と、ワンタイムコードで即時接続できる Code Connect、そして On-Demand Assist（Premium／Enterprise、Plus は追加購入）が登場。これにより、エンドユーザー側に永続エージェントを残さずに PC・Mac・Android・iPhone へ参加型サポートを行えます。

ファイル転送、リモート印刷、チャット、音声、クリップボード同期、マルチモニター切替、セッション録画などの機能を備え、適応型コーデックが低帯域でも快適な操作感を維持。デバイスグループ、MSI／MDM 配布、REST API（Premium 以上）で数千台規模の展開も容易です。オフラインライセンスとオンプレミスブローカー（Enterprise）は、完全閉域ネットワークにも対応します。

ライセンスは 同時接続セッション数 と 管理台数 で分かりやすく設定されています。Essentials（1 セッション／3 台）、Plus（2 セッション／20 台）、Premium（5 セッション／150 台）、Enterprise（無制限カスタム）の 4 プランすべてにコア機能が含まれており、上位プランほど直結接続、API、SSO、優先サポートが拡充されます。14 日間の無料トライアル も用意されています。

世界で 6 万社超、数十億回の接続実績を誇り、オンサイト訪問を 70〜90 % 削減しつつセキュリティと生産性を両立可能です。リセラーにとっては、導入が簡単でマージン確保もしやすい堅実なリモートアクセス製品です。

RealVNC詳細

1  製品紹介

RealVNC Ltd. は 2002 年に VNC（RFB）プロトコルを生み出した英国ケンブリッジの開発元です。 RealVNC Connect は、デバイス常駐の Device Access（常時接続） と、コード招待式の On-Demand Assist（スポットサポート） を単一アプリで提供します。クラウド中継により NAT やファイアウォール設定を意識せず利用でき、Premium／Enterprise なら LAN 内直結やインターネット非接続環境にも展開できます。

2  主な機能・特長

• ゼロトラスト設計：E2E 暗号化（AES-GCM 128／256＋PFS）、多要素認証、詳細なロールベース権限、完全な接続監査＆録画
• 幅広いプラットフォーム：サーバー側は Windows 7-11／Windows Server 2008-2025、macOS 10.13 以降、主要 Linux ディストリビューション（x86／ARM）と Raspberry Pi OS。モバイルは Android 8 以降（大半の端末で遠隔操作）、iOS 14 以降（画面共有）
• 高い操作性：ドラッグ＆ドロップのファイル転送、PDF 仮想プリンタ経由リモート印刷、テキストチャット、音声転送、マルチモニター個別ウィンドウ、クリップボード同期
• 適応型コーデック：帯域に応じて自動でフレームレートと色深度を調整し、4G 回線でも滑らか
• 大規模管理：Web ポータルでデバイスを一元管理、MSI／PKG サイレントインストール、AD グループポリシー、REST API による自動プロビジョニング
• 柔軟な接続形態：クラウド中継（標準）、LAN／VPN 直結（Premium 以上）、オンプレミスクラウド＋オフラインライセンス（Enterprise）
• OEM／組込み：C/C++／.NET／Java SDK、プロトコルソース供与、医療・産業機器向けカスタムセキュリティも対応

3  ライセンスについて

• Essentials ― 個人・小規模利用向け : 管理台数 3、同時接続 1、クラウド専用
• Plus ― SMB／MSP 初期導入向け : 管理台数 20、同時接続 2、クラウド専用（On-Demand Assist は追加可）
• Premium ― 中規模以上の組織向け : 管理台数 150、同時接続 5、LAN 直結／API／On-Demand Assist 標準、電話サポート
• Enterprise ― 大企業・規制業界向け : 管理台数・セッション無制限（要見積）、オンプレブローカー／SSO／オフライン運用、SLA 付き優先サポート

全プラン共通で E2E 暗号化、MFA、HD 表示、ファイル転送、印刷、チャット、マルチモニター、デスクトップ＆モバイルビューワーが利用可能です。

4  導入メリットと投資対効果

1. 移動とダウンタイムを削減：オンサイト対応を 70〜90 % 削減し、IT 工数と旅費を大幅カット。
2. セキュリティ強化：ゼロトラスト接続と監査レコードでコンプライアンスを担保、VPN 乱立を回避。
3. 生産性向上：適応型映像とキーボードパススルーにより、遠隔でもほぼローカル品質の操作感。
4. ツール統合：常駐管理、オンデマンド支援、モバイル閲覧、IoT 監視を 1 プラットフォームで実現。
5. スケール容易：同時接続ライセンスと自動配布トークンで数千台にも迅速展開。

4-1  用途別ベネフィット

運用保守（社内IT・拠点管理）

• 標準プロファイルで手順の再現性を高め、作業のばらつきを低減
• 管理操作と閲覧を分離し、最小権限で安全に運用
• 接続・操作の記録を残し、インシデント時の追跡と説明責任に対応

社外サポート（委託/ベンダー対応）

• 一時的なアクセスを承認フローで付与し、期限や対象を限定
• 画面共有・ファイル受け渡し等の持ち出し経路をコントロール
• 終了条件や自動切断を決め、セッションの抜け漏れを防止

テレワーク（社外から社内PCへ）

• 社外から社内デスクトップへ安全に到達できる設計に対応
• データは社内に留める方針で、転送・印刷の可否を制御
• 帯域変動に強い設定で、在宅環境でも業務継続を支援

ケーススタディ（抜粋）

• 医療機関：SOMC 病院では 85 % の PC 障害を遠隔で解決し、HIPAA 準拠を維持。
• 製造業：Boston Valley Terracotta は Raspberry Pi HMI を中央監視し、高温炉の停止リスクを回避。
• 衛星通信：Telesat は世界各地の地上局を厳格なセキュリティ下で遠隔運用。

5  主なユースケース

• 社内ヘルプデスク（Windows／Mac／Linux）
• VPN 不要のテレワーク／BYOD アクセス
• サーバーおよびインフラ保守（ヘッドレス Linux、VM コンソール）
• ベンダーへの一時的アクセス（Code Connect）
• MSP による複数顧客サポート（デバイスグループ分離）
• 産業・IoT 機器の HMI／キオスク監視（Raspberry Pi 等）

6  OEM・開発者向け提供

VNC SDK は製品組込みや独自アプリ開発を支援。静的ライブラリ、プロトコルソース、ホワイトラベルクラウド、中核部のみ FIPS 準拠での提供など柔軟に対応可能です。

7  よくある質問（FAQ）

購入前FAQ

Q : 社内のセキュリティポリシー下で運用できますか？
A : はい。ポリシーに沿った運用設計が可能です。多要素認証やシングルサインオン、ロール別権限、操作記録の保全、データ持ち出し制御など一般的な要件に整合する構成をご提案します。既存の IdP／MDM／プロキシ／SIEM と連携し、「誰が・どこへ・何をしたか」を後から説明できる状態を前提に設計します。

Q : VPN の要／不要は？
A : どちらの設計も可能で、要件に応じて選択します。VPN なしは拠点が多い・社外/委託先からのオンデマンド支援・在宅中心などに適し、VPN ありは閉域ポリシーの維持や法規・監査で必須の場合に適します。いずれも 認証・認可・監査を優先し、ネットワークの開放は最小限に抑えます。

Q : 端末数やユーザー数の増減にどう対応したらよいですか？
A : MDM/スクリプトによる一括配布とグループ権限テンプレで拡張し、退職・契約終了に連動したアクセス無効化で縮小します。月次の棚卸しで利用状況を見直し、命名規則や台帳整備でムダを抑えます。最適構成は拠点数・端末種別・利用頻度により変わります。

Q : iPhone を遠隔操作できますか？
A : iOS 端末は画面共有のみ対応。フル操作は Android 8 以降の多くの機種で可能です。

Q : Essentials でファイル転送は使えますか？
A : はい。全有償プランにデスクトップ間の双方向ファイル転送が含まれます。

Q : VPN 設定は必要ですか？
A : クラウド中継の場合、TLS 443 発信のみで利用できます。LAN 直結は Premium 以上で設定可能です。

Q : 無料トライアル期間は？
A : 14 日間です。Unlimited ユーザーで最大 10 台を評価できます。

Q : 完全閉域網でも使えますか？
A : Enterprise のオフラインライセンスとオンプレブローカーでインターネットアクセスゼロ運用が可能です。