目次
1. PST Walker概要版
PST Walker ソフトウェアスイート:製品概要とバリュープロポジション
PST Walker は、Microsoft Outlook データファイルを大規模に扱うための専門ソフトウェアスイートです。企業の IT 部門、セキュリティチーム、MSP などに向けて、Outlook の PST/OST ファイルを開く・検索する・復旧する・変換するといった作業を効率的に行うための強力なツール群を提供します。
スイートの中核となる OST PST Viewer(PST Walker) は、複数の PST・OST ファイルを並行して開き、削除済み・孤立したアイテムの復旧、キーワードやブール演算子を用いたきめ細かな検索、メール/予定表/連絡先/タスクの PST・MSG・EML・MBOX・CSV 形式へのエクスポートなどを行えます。
ビューアに加えて、スイートには MSG EML Viewer(.msg / .eml ファイルの高度な解析と変換、破損メッセージも対象)や、PST・OST・MSG・EML・MBOX 間のスキャン/修復/変換/エクスポートを行う 12-in-1 コマンドラインツール PstScan Pro が含まれます。さらに PST to EML Converter などの専用コンバーターにより、Outlook データファイルから他社の一般的なメールクライアント向け EML 形式への一括移行をサポートし、検索条件で必要なアイテムだけを抽出できます。
運用面では、PST Walker ファミリーは企業環境でよく発生する以下の課題を解決するよう設計されています。
- Outlook を使わずに Outlook データへアクセスしたい
調査用端末、ロックダウンされた環境、オフラインアーカイブなどで有効です。 - 大規模メールストアに対する高度な検索・分析
詳細なフィルター、ブール演算子、正規表現、多数ファイル横断検索などを利用できます。 - 削除されたメールやフォルダの復旧
「ハード削除」や「孤立アイテム」を含む PST/OST からの復旧を支援します。 - 信頼性の高いエクスポートと移行
PST・OST・MSG・EML・MBOX 間の堅牢な変換に加え、フォルダ構造、添付ファイルの扱い、ファイル名マクロなどを柔軟に指定できます。
一般的な「閲覧のみ」の PST ビューアと比較すると、PST Walker はフォレンジックレベルのメタデータ解析、強力な復旧機能、コマンドライン自動化、企業向けライセンス(Standard / Floating / Enterprise など)を備えている点が特徴です。
情報システム部門や意思決定者にとって、PST Walker を標準ツールとして導入することで、ヘルプデスク/セキュリティ/コンプライアンス業務における Outlook データの扱いを共通化できます。削除済みメールボックスの復旧時間短縮、eDiscovery における検索効率の向上、他メールプラットフォームへの安全な移行などが期待できます。また、処理はオンプレミスで完結し、第三者のサーバーにデータをアップロードする必要はありません。
2. PST Walkerについて
2-1. PST Walker ソフトウェアスイート:製品概要とバリュープロポジション
Outlook データファイルの管理は、企業の IT・セキュリティ・コンプライアンス部門にとって重要なテーマになっています。PST や OST ファイルは、ファイルサーバーやユーザー端末、バックアップストレージなどに散在し、業務上重要なメール、過去の証跡、各種規制対象データを含んでいることが少なくありません。破損・ユーザーの操作ミス・移行トラブル・法的調査などが発生した際、これらのファイルへ確実かつコントロールされた形でアクセスできることが求められます。
PST Walker ソフトウェアスイート は、まさにこの用途のために設計された Windows 向けツール群です。Outlook 本体に依存せずに PST / OST ファイルを開き、MSG・EML・MBOX などのメール形式も含めて、閲覧・検索・復旧・変換を行うことができます。
スイートの構成は次の通りです。
- OST PST Viewer(PST Walker)
PST / OST ファイルを対象とした高機能デスクトップビューア兼解析ツールで、高度な検索と復旧機能を備えています。 - MSG EML Viewer
MSG / EML ファイルに特化したビューアで、フォレンジック用途も想定した解析機能と変換機能を搭載しています。 - PstScan Pro
PST・OST・MSG・EML・MBOX 間でのスキャン/修復/変換/エクスポートを行う、コマンドラインベースの「12-in-1 コンバーター」です。 - 専用コンバーター群(PST/MSG/EML/MBOX)
PST to EML Converter など、PST・MSG・EML・MBOX 形式の間で特定方向の変換に特化したツールをラインアップしています。
これらのソフトウェアを組み合わせることで、復旧・移行・調査・長期アーカイブなど、Outlook ベースのデータを扱う一連の業務を標準化できるエンタープライズ向けツールキットが完成します。
2-2.製品紹介(Product Introduction)
2-2-1. OST PST Viewer(PST Walker)– 中核ビューア&復旧ツール
スイートの中心となるのが OST PST Viewer(一般に PST Walker と呼称)です。Outlook がインストールされていない、あるいは Outlook からはアクセスできない PST / OST ファイルを開いて解析する用途に最適化されています。
主な機能は次の通りです。
■ 複数の Outlook データファイルを同時に閲覧
- PST / OST ファイルを Outlook なしで専用インターフェースから読み込み可能。
- 複数ファイルを並行して扱えるため、大規模なメールアーカイブや複数ユーザーの調査に適しています。
■ 閲覧・エクスポートに対応する広いファイル形式
- PST・OST・MSG・EML を読み込み可能。
- アイテムを PST・MBOX(一般的な MBOX メールクライアント向け)・MSG・EML・CSV 形式などへエクスポート/変換し、さまざまな後続システムやワークフローに対応できます。
■ 高度な検索とフィルタリング
- キーワード検索や送信者/件名/期間/サイズなどの豊富なフィルターを搭載。
- ブール演算子や関数、正規表現を利用した高度な条件検索が可能です。
- メッセージヘッダーだけでなく、添付メールの内容も検索対象にできます。
■ 削除アイテム・孤立アイテムの復旧
- Outlook から削除されたメールやフォルダ、フォルダに属さない孤立アイテムの特定と復旧が可能です。
- 消えてしまったルールやアラートを検出し、必要に応じて .rwz ファイルとしてエクスポートできます。
■ フォレンジック向け HEX / メタデータ解析
- Outlook データファイルの HEX レベル解析に対応。
- 拡張 MAPI プロパティの閲覧が可能で、デジタルフォレンジックやインシデント対応に役立ちます。
■ プライバシーとオンプレミス制御
- ソフトウェア自体が個人データを収集・共有しない設計で、処理はローカル環境内で完結します。
- 外部サーバーへのアップロードを行わないため、機密性の高いメールデータも安心して扱えます。
導入形態としては、インストーラー版とポータブル版の両方が用意されており、調査専用ワークステーションへのインストールや、USB ドライブからの直接実行など、運用ポリシーに合わせた柔軟な展開が可能です。
2-2-2. MSG EML Viewer – MSG/EML 専用ビューア&フォレンジック機能
OST PST Viewer が PST / OST にフォーカスしているのに対し、MSG EML Viewer は .msg / .eml といった単一メールファイル形式に特化しています。これらはエクスポートや開示作業、他メールシステムからの出力などで頻繁に生成される形式です。
MSG EML Viewer の主な特徴は次の通りです。
■ 幅広いメール環境との互換性
- Outlook 由来の MSG/EML に加え、一般的なデスクトップ/ウェブメールクライアントから出力された EML も開くことができます。
■ 柔軟な表示モード
- メール本文を HTML / RTF / プレーンテキストで表示可能。
- 正常なメッセージだけでなく、破損した MSG ファイルの閲覧にも対応します。
■ メッセージ操作機能
- ビューア上から既定のメールクライアントを呼び出し、返信・転送を行うことができます。
- メールや添付ファイルの印刷・エクスポートも可能です。
■ 列フィルタリングとクイック検索
- グリッド状の一覧に対する列フィルタやキーワードハイライトで、必要なメールを素早く絞り込みできます。
- 「関連メッセージを探す」といったワークフローにも対応しやすい構造です。
■ 高度検索とフォレンジック用途への配慮
- キーワードやブール演算子による検索が可能で、添付メールに渡って検索できます。
- ヘッダー情報や MAPI プロパティを確認でき、デジタルフォレンジック分析に役立ちます。
■ メール形式間の変換
- MSG → EML / MSG → HTML / EML → MSG / EML → HTML といった変換を行い、添付ファイルを含むメッセージデータをできる限り保持します。
PST Walker と同様に、MSG EML Viewer もインストーラー版とポータブル版があり、Outlook をインストールせずに利用できます。
証拠メールやアーカイブがすでに MSG/EML 形式で保存されているワークフローの場合、MSG EML Viewer は PST Walker を補完する専用ツールとして有効です。
2-2-3.PstScan Pro – 自動化向け 12-in-1 コマンドラインコンバーター
PstScan Pro は、自動化シナリオやバッチ処理、既存スクリプト/スケジュールタスクへの組み込みを想定したコマンドラインユーティリティです。大量の Outlook データを安定的に処理したい企業 IT 部門や MSP にとって、特に魅力的なツールです。
主な機能は次の通りです。
■ 受信トレイ修復の自動化
- 標準の Outlook 受信トレイ修復ツール(SCANPST.EXE)をラップし、「エラーがゼロになる/連続パスで新規エラーが発生しなくなる/最大パス回数に達する」といった条件まで自動的に繰り返し実行します。
■ 12-in-1 のファイル形式変換
- PST / OST から PST・MSG・EML・MBOX への変換に対応。
- MSG・EML・MBOX を入力とし、他の対応形式へ変換することも可能です。
■ 高度な復旧オプション
- 「ハード削除」されたアイテムや孤立アイテムを検出・出力する専用オプションを備え、それらのみを抽出するモードも用意されています。
■ 自動処理における検索・フィルタリング
- 「--query」 オプションにより、ブールロジックを含む検索条件を指定し、一致するメッセージのみを処理・変換することができます。
■ 添付ファイルの抽出
- PST・OST・MSG・EML から添付ファイルだけを抽出する 「extract」 コマンドを備え、ファイル名や拡張子などの条件を柔軟に指定できます。
■ フォルダ構造・出力制御の柔軟性
- 元のフォルダ階層を保持したエクスポート(空フォルダを含む/含まない)に対応。
- 出力先フォルダ名・Outlook ストア名の指定、複数 PST への分割出力、上書きモードの制御など、多数のオプションが利用できます。
夜間バッチでの自動変換や、移行前のクリーンアップ、添付ファイルの一括抽出など、スクリプトベースのワークフローを構築したい場合、PstScan Pro は Outlook データ処理を既存の自動化フレームワークに組み込むための低レベル制御を提供します。
2-2-4. コンバーターファミリー – PST/MSG/EML/MBOX コンバーター
PST Walker と PstScan Pro に加えて、ベンダーは特定の変換方向やユースケースに特化した専用コンバーター群も提供しています。例えば:
- PST to EML Converter
- PST to MBOX Converter
- PST to MSG Converter
- MSG to PST / MSG to EML / MSG to MBOX
- EML to PST / EMLX to EML / EML to MBOX
- MBOX to PST / MBOX to EML
■ 例:PST to EML Converter
PST to EML Converter は、PST / OST ファイルから EML 形式へのエクスポートに特化したコンバーターです。一般的なデスクトップ/ウェブメールクライアントで利用できる EML 形式への変換を想定しています。
主な特徴:
- 正常な PST / OST だけでなく、破損ファイルやパスワード保護されたファイルにも対応。
- メール本文だけでなく、添付ファイル、連絡先、予定表、タスクなどを EML に書き出し可能。
- Outlook がインストールされていない環境でも動作します。
- ライセンスによっては、コマンドラインオプションや検索フィルタを利用した一括処理が可能です。
- マクロ機能で、件名やエントリ ID などに基づく一意なファイル名を生成し、フォルダ構造を保ったままエクスポートできます。
コマンドライン利用が有効な構成では、「--file」、「--query」、「--harddel」、「--harddel-only」、「--headers」 などのオプションを使って、何をどのようにエクスポートするかを細かく制御できます。
他のコンバーターも同様の設計思想に基づいており、さまざまな移行シナリオを持つ顧客に対して、一貫性のある製品ファミリーとして提案できます。
2-3.導入メリット(Benefits of Implementation)
PST Walker ソフトウェアスイートを企業環境に導入することで、運用・セキュリティ・コンプライアンス・ユーザーサポートの各面でメリットが得られます。
Outlook を使わずに Outlook データへ集中アクセス
多くの IT ワークフローでは、Outlook をインストールできない、あるいはインストールしたくないシステムで PST / OST ファイルを扱う必要があります。例えば:
- フォレンジック用ワークステーション
- ロックダウンされたサーバー環境
- 一時的な検証用仮想マシン
- オフラインバックアップ/アーカイブ
PST Walker(OST PST Viewer)と MSG EML Viewer を使えば、これらの環境でも Outlook を使わずに PST / OST / MSG / EML を読み取り・解析できます。これにより、調査時にユーザープロファイルや実稼働メールボックスへ影響を与えるリスクを抑えられます。
大規模メールストアに対する高度な検索・分析
スイート全体は、強力な検索機能を中核に設計されています。
- 全アイテムを対象としたキーワード検索
- 送信者・受信者・件名・日付範囲・サイズなど、多彩な組み込みフィルター
- 複雑な条件を扱えるブール演算子・関数
- PST Walker における正規表現検索
- PstScan Pro や PST to EML Converter などのコマンドラインツールに検索クエリを組み込んだ処理
これにより、情報システム部門は次のようなシナリオに迅速に対応できます。
- 特定の件名やチケット番号に関連する全メールの特定
- インシデントやプロジェクトに関連するメールスレッドの抽出
- 複数ユーザーの PST / OST を横断しての一括検索
検索構文やブール演算子の使い方については、社内向けリファレンス表として共有することもできます。
「ハード削除」を含む信頼性の高いメール・フォルダ復旧
削除されたメールやフォルダの復旧は、ヘルプデスクで頻繁に発生する緊急タスクです。PST Walker スイートは、次のような復旧をサポートします。
- 削除済みアイテム フォルダからも消去されてしまったアイテムの復旧。
- Shift+Delete による ハード削除 や孤立アイテムの検出・復旧(PST Walker や PstScan Pro の復旧機能や 「--harddel」 オプションを活用。機能利用の可否はエディションに依存します)。
- Outlook のルールやアラートの復旧(.rwz 形式でのエクスポート)。
削除に気付いた段階で速やかに Outlook を閉じ、PST / OST をバックアップしてから PST Walker でスキャン・エクスポートを行うことが推奨されています。この手順に従うことで、復旧対象データを上書きしてしまうリスクを最小化できます。
柔軟なエクスポート・バックアップ・移行ワークフロー
組織内では、次のようにデータを他システムへ移動する場面が多数あります。
- Outlook から他社メールクライアントへの移行(PST → MBOX / EML など)
- PST / OST の内容を他システムやアーカイブソリューションへ取り込むためのエクスポート(PST・MSG・EML・MBOX など)
- 別のシステムから取得した MSG / EML を、利用中の環境に適した形式へ変換
PST Walker とコンバーター群は、次のような機能を提供します。
- 元のフォルダ構造を維持したエクスポート
- 空フォルダをスキップするオプション
- 件名やエントリ ID などを利用したファイル名マクロ
- 検索条件やフィルタを使った選択的エクスポート(必要なアイテムだけを移行)
これらを組み合わせることで、ユーザーへの影響を抑えた再現性の高い移行手順書(プレイブック)を設計できます。
ガバナンス・リスク・コンプライアンス対応の強化
ガバナンス/リスク/コンプライアンス(GRC)の観点からも、PST Walker スイートは有用です。
- PST / OST / MSG / EML に対するフォレンジックレベルのメタデータ・HEX 解析機能
- PST Walker / PstScan Pro / PST to EML Converter など各製品における「アプリのプライバシー」ポリシー(ソフトウェア自体が個人データを収集・共有せず、生成データもローカルに留まる設計)
- 精度の高い検索条件に基づいたエクスポートにより、内部調査やリーガルホールドで必要な範囲に限定したメール収集が可能
外部クラウドへデータを送信するタイプのメールツールと比べ、オンプレミス内で完結することは重要な差別化要素になります。
IT・セキュリティ・法務部門の運用効率化
PST Walker を標準ツールとして採用することで、次のような運用効率化が期待できます。
- ヘルプデスクチームに対し、ユーザーデータ復旧・トラブルシュート用の共通ツールを提供
- セキュリティチームに、疑わしいメールのヘッダー情報や MAPI プロパティを確認できるビューアを提供
- 法務・コンプライアンス部門に、調査時のメール収集を制御可能なツールを提供
サポート対象外のフリーウェアやアドホックなスクリプト、Outlook の手作業操作に頼る代わりに、ドキュメント化しやすい商用ツールセットとしてプロセスに組み込むことができます。
2-4. 利用シナリオ(Use Cases)
ヘルプデスクサポート – 削除された Outlook フォルダとアイテムの復旧
シナリオ例:
ユーザーが重要なプロジェクトフォルダを誤って削除し、その後「削除済みアイテム」フォルダも空にしてしまいました。Exchange サーバー側のサーバー復元も利用できない環境です。
この状況で、IT 担当者は PST Walker を用いて次のように対応できます。
- Outlook を閉じ、対象 PST ファイルのバックアップを取得する。
- PST Walker で PST を開く。
- Recoverable Items(Deletions / Versions など)を含む復旧機能を実行する(利用可能な機能はライセンスにより異なる)。
- 復旧したメールやフォルダを新しい PST としてエクスポートする。
- 復旧 PST を Outlook にマウントするか、必要な MSG / EML ファイルだけユーザーへ返却する。
このワークフローにより、フルバックアップからのメールボックス単位復旧に比べて、時間と影響範囲を大きく抑えることができます。
セキュリティ調査・メール詐欺分析
組織では、次のような調査が日常的に発生します。
- 経営層を狙ったフィッシング攻撃
- 不審な添付ファイルの調査
- アカウント侵害疑いの検証
PST Walker と MSG EML Viewer は、こうした調査に役立つ機能を提供します。
- 対象ユーザーの PST / OST、あるいは MSG / EML データセットを素早く読み込み
- メッセージヘッダーや MAPI プロパティを確認し、経路情報や認証結果、不審なメタデータを分析
- 添付メールまで含めた横断検索で、フィッシングメールの展開状況を把握
- メールボックス全体ではなく、調査対象の部分集合だけをエクスポートし、外部フォレンジックベンダーや法執行機関と共有
本文と簡易ヘッダーのみを表示する一般的な PST ビューアと比較して、PST Walker のメタデータ解析・HEX 表示機能は、セキュリティ運用において明確な優位性を生みます。
eDiscovery とリーガルホールド
法務チームにとって、関連メールを漏れなく収集しつつ、過剰な収集を避けることは大きな課題です。
- 特定の当事者やキーワード、期間に関連するすべてのメールを収集する必要がある。
- 収集プロセスは、再現性があり防御可能なものでなければならない。
PST Walker と PstScan Pro を組み合わせることで、次のようなプロセスを構築できます。
- ユーザーメールボックスから PST / OST をエクスポート。
- ブール演算子や日付フィルタを使用し、関連メッセージのみを抽出。
- eDiscovery プラットフォームの要件に合わせて、EML / MSG / MBOX など適切な形式で保存。
- PST Walker の詳細なログ機能を活用し、処理内容を記録。
こうして構築されたチェーンは、eDiscovery のプレイブックに明示的に組み込み、法務部門による品質確認を受けることができます。
クロスプラットフォーム移行(Outlook ↔ 他メール環境)
多くの組織では、Outlook から他社メール環境へ、あるいはその逆への移行や、異なるメールシステムへのアーカイブ統合が求められます。
PST Walkerは、例えば次のようなパターンをサポートします。
- PST → MBOX – PST to MBOX Converter による一般的な MBOX ベースメールクライアント向けの変換
- PST / OST → EML – PST to EML Converter による EML 形式への変換(さまざまなデスクトップ/ウェブメールクライアントへ取り込み可能)
- MBOX → PST / EML – MBOX to PST / MBOX to EML コンバーター
- MSG / EML → PST – MSG to PST / EML to PST コンバーター
検索クエリやフォルダ構造オプションを適用することで、移行対象を特定期間・特定ユーザー・特定プロジェクトなどに絞り込み、巨大なレガシーアーカイブを丸ごと移行する必要を減らせます。
添付ファイル抽出とストレージ最適化
メールボックスや PST アーカイブが肥大化する主な原因の一つが添付ファイルです。PstScan Pro には、PST / OST / MSG / EML から添付ファイルのみを抽出するコマンドラインオプションが用意されています。
- 特定拡張子やサイズなどの条件に基づくファイルタイプフィルタ
- 元ファイル名や連番を用いたファイル名規則
- 元のフォルダ階層を維持した添付ファイル出力
これにより、IT 部門は次のようなことが可能になります。
- 大容量添付ファイルを専用ストレージに切り出し、本体メールストアをスリム化。
- 添付ファイルの種類やサイズ分布を分析し、ストレージ計画に反映。
- 実行ファイルなど特定ファイルタイプに対するポリシーをメールベースで適用。
Outlook 上での手作業や簡易ビューアでの都度抽出と比べ、大規模データセットに対する処理時間を大幅に短縮できます。
CLI ツールによる自動化・スクリプト連携
PstScan Pro や、一部コンバーターに用意されたコマンドラインインターフェース(例:「pst2eml-cli」)を用いることで、IT チームは Outlook データ処理を次のような仕組みに組み込めます。
- PowerShell スクリプト
- Windows タスクスケジューラ等による定期実行ジョブ
- 独自開発ツールとの連携
代表的な自動化パターンの例:
- PST / OST アーカイブの夜間スキャンと自動修復
- 特定条件に一致する新着メールの定期エクスポート(コンプライアンスアーカイブ向けなど)
- 移行プロジェクト前に、レガシーアーカイブの一括変換・正規化
多言語・多地域での運用
PST Walker / PstScan Pro / PST to EML Converter は、英語・オランダ語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語(ブラジル)・スペイン語など複数のインターフェース言語に対応し、幅広い Windows バージョンで動作します。
MSG EML Viewer も、各種エンコーディング設定に対応しており、地域言語やアジア言語を含む文字列を正しく表示できます。
グローバルに拠点を持つ組織でも、地域ごとにツールを分ける必要なく共通ツールセットとして展開しやすく、トレーニングや運用負担を軽減できます。
2-5.よくある質問(FAQ)
PST Walker の製品ラインアップには何がありますか?
主なソフトウェアは次の通りです。
- OST PST Viewer(PST Walker)
- MSG EML Viewer
- PstScan Pro(12-in-1 コンバーター)
- PST コンバーター(OST to PST / PST to EML / PST to MBOX / PST to MSG など)
- MSG コンバーター(MSG to PST / MSG to EML / MSG to MBOX など)
- EML コンバーター(EML to PST / EMLX to EML / EML to MBOX など)
- MBOX コンバーター(MBOX to PST / MBOX to EML など)
PST Walker は一般的な PST ビューアや Outlook と何が違いますか?
- 一般的な PST ビューアは、閲覧専用で編集や検索機能が限定的なものが多い。
- PST Walker は次のような高度な機能を追加しています。
- 複数形式への一括抽出・変換
- ブール演算子や正規表現を含むきめ細かな検索
- メタデータや MAPI プロパティのフォレンジック解析
- 削除済み/孤立アイテム、ルールやアラートの復旧
Outlook 自体と比較すると、PST Walker は実稼働メールボックスに接続することなくオフラインデータを対象にし、検索・エクスポート機能を強化している点で、調査・移行・復旧用途により適したツールと言えます。
PST Walker や関連ツールを使うのに Outlook や Microsoft 365 は必要ですか?
- OST PST Viewer(PST Walker) と MSG EML Viewer は、PST / OST / MSG / EML ファイルを開いて解析する際に Outlook のインストールを必要としません。
- 特に PST 形式を生成する一部のコンバーター処理では、製品仕様に基づき Outlook のインストールが必要となる場合があります(例:MSG から PST への変換など)。
PST Walker はどのように削除アイテムを復旧しますか?
削除アイテム復旧の一般的な流れは次の通りです。
- PST / OST ファイルをスキャンして復旧可能なアイテムを検出。
- Recoverable Items や 「--harddel」 オプションなど、各種復旧機能を用いてハード削除・孤立アイテムを抽出。
- 復旧したメッセージやフォルダを、新しい PST あるいは他形式にエクスポートし、元のファイルを直接書き換えない。
対応プラットフォームとシステム要件は?
PST Walker / PstScan Pro / PST to EML Converter などの主なソフトウェアは、概ね次の環境を想定しています。
- Windows 11 / 10 / 8.1 / 8 / 7 などの互換 Windows
- Intel 互換 x86 / x64 プロセッサ
- 最低 4 GB RAM(8 GB 推奨)
- インストールに約 100 MB のディスク空き容量
- Microsoft .NET Framework 4.7.2 以降
一般的な企業向けデスクトップやサーバー環境で幅広く利用できます。
PST Walker はデータのプライバシーをどのように保護しますか?
PST Walker、PstScan Pro、PST to EML Converter などの主要製品には、それぞれ「アプリのプライバシー」に関する説明があり、概ね次のような方針が示されています。
- ソフトウェア自体は個人データを収集・共有しない。
- 生成されるデータはすべてローカルデバイス上に残り、外部へ送信されない。
- 隠れたトラッキングやデータ収集機能は実装していない。
メール内容の取り扱いに厳しい規制がある組織にとっても、管理範囲を明確に保った運用が可能です。
試用版ダウンロードはこちら
メーカーの製品サイト
https://www.pstwalker.com/
【言語】英語


