概要
FilmConvert は、アナログフィルムの質感と合理的なカラーマネジメントを現代のデジタル制作に取り込む、緊密に統合されたカラーグレーディング用プラグイン群です。中核の FilmConvert Nitrate は、実測に基づくフィルムストック・エミュレーション、現実的なフィルムグレイン制御、LUT 書き出しを備え、Adobe Premiere Pro/After Effects(macOS & Windows)、DaVinci Resolve(macOS & Windows)、Final Cut Pro(macOS) に対応します。Nitrate は カメラごとの色再現 に合わせてストックを最適化するカメラパック方式を採用し、LOG パイプラインでダイナミックレンジを保持。ハイライト/ミッドトーン/シャドウ単位の グレイン応答カーブ により、質感をトーンに追従させて調整できます。ライセンスは 永続、1 ライセンスにつき 3 台までアクティベーション可能です。
CineMatch はマルチカメラ運用の負担を根本から軽減します。センサー・マッチング技術により異なるメーカーや機種の映像を数クリックで整合。Premiere Pro と Final Cut Pro 環境では Rec.709/Rec.2100 HLG/Rec.2100 PQ の HDR 管理にも対応します。さらに 3D LUT を生成してオンセット監視や部門間の受け渡しに活用できます。
創造的な仕上げには Halation と Hazy を用意。Halation は強いハイライト周囲に生じる赤い“ハロー”を再現し、単体プラグインとしても Nitrate のアドオンとしても利用可能です。Hazy は物理ディフュージョン(Pro Mist/Bloom 系)の効果をポストで再現し、ハイライトを柔らかくして肌のトーンバランスを整えます。両者は ACES や HDR に合わせた入力ガンマ選択に対応し、永続ライセンス/3 台アクティベーションです。
エンタープライズ導入では、カメラ固有の精度、一貫性、短い学習曲線が強みです。近年の更新では Apple Log 2/ARRI LogC4/Fujifilm F-Log2 などに対応。Nitrate には Camera Pack Downloader が備わり、プロファイル導入を効率化します。一般的な“見た目”主体のスイートや単一ホスト前提のエフェクトと比べ、FilmConvert は カメラ認識型エミュレーションと モジュール構成が特長です。Nitrate はフィルム応答とグレイン、CineMatch はカメラ整合、Halation はハイライト挙動、Hazy は光学ディフュージョンを担当し、主要ツール内で完結します。
製品概要・価値提案
FilmConvert Nitrate
概要
Nitrate は、シネ/写真用フィルムストックの“応答”をデジタル撮影素材へ 正確かつ反復可能に写像するフラッグシップ・プラグインです。プリセット主体の「見た目」ではなく、撮影した 実機カメラ に合わせてストックを最適化する カメラパックを用います。
主な機能
- 実測ベースのフィルムストック・エミュレーション
- メーカー/機種/ピクチャープロファイルを選ぶ カメラ認識型処理(Camera Packs)
- ハイライト/ミッドトーン/シャドウ個別の グレイン応答カーブ、ソフトネス、彩度などの制御
- LOG パイプライン前提のトーンシェーピングと 3D LUT 書き出し
- ハレーション表現(Nitrate 内機能として、または専用プラグインとして利用)
- 永続ライセンス/3 台アクティベーション、従来版からの アップグレードに対応
フィルムストック例
Kodak Vision3 250D 5207、Vision3 200T 5213、Fuji Eterna 8553/Vivid 8543、Kodak Portra 400、Fujichrome Astia/Provia/Velvia、Ilford FP4/Delta 系など、シネ負・写真用負/ポジ、モノクロを含む幅広いカタログ。
カメラプロファイル運用
プラグイン適用後に メーカー → 機種 → プロファイル を選択。未掲載機種は近い特性のプロファイルを試すか、追加リクエストが可能です。
ホスト/OS
Premiere Pro/After Effects(macOS & Windows)、DaVinci Resolve(macOS & Windows/OFX)、Final Cut Pro(macOS)。
システム要件の目安:Windows 10/11、macOS 10.15 以降(Apple Silicon 対応)、Resolve 16+、FCP 10.8+、Adobe CC 2018+。
最近の更新(規格対応)
Apple Log 2/ARRI LogC4/Fujifilm F-Log2 などに対応し、新しいカメラやログカーブでの色変換精度を確保。
CineMatch
概要
CineMatch は センサー・マッチングと 色科学変換を組み合わせ、まずセンサー段階の差異を整合したうえで、ターゲットカメラの色再現を適用します。単純なカラースペース変換を超えて、実機センサーの見え方を反映します。
主な機能
- 異なるメーカー/機種間の 迅速なマッチング
- HDR 対応(Rec.709/Rec.2100 HLG/Rec.2100 PQ)のカラーマネジメント(Premiere Pro/Final Cut Pro)
- 露出・ホワイトバランス・色温度・ティントなどの 基礎補正 と フォルスカラー
- オンセット監視やワークフロー共有に向けた 3D LUT 生成
効果
大規模タイムラインでも統一したスタート地点からグレーディングを始められ、QC のばらつきや手戻りを抑制します。
Halation
概要
Halation は、フィルムで強いハイライト周辺に現れる赤いハロー(乳剤層と反射による効果)を再現し、夜景やネオン、コンサート照明などに奥行きと温かみを与えます。単体としても Nitrate のアドオンとしても使用可能で、アドオン導入時は Nitrate のライセンス座席に準じます。
ワークフロー
- 単体プラグイン:ACES/Linear/DWG/HDR などの 入力ガンマ を選択
- Nitrate アドオン:Nitrate と同じカメラパックを活用し、ワークフローに自然に統合
Hazy
概要
Hazy は物理ディフュージョン(Pro Mist/Bloom 系)の効果をポストで再現し、ハイライトを柔らかくしつつ 肌のトーン を整え、現代的なシャープネスを馴染ませます。
主な機能
- 単体プラグイン(Nitrate には非同梱)
- ACES/Linear/DWG/HDR などに合わせた 入力ガンマ選択
- プリセットと カスタム応答コントロール、ロールオフ調整により、点光源周辺の集中的なグローから画面全体のヴィンテージ感まで表現
- 永続ライセンス/3 台アクティベーション
導入メリット
1) カメラ認識型の精度と一貫性
- Nitrate+カメラパックで、撮影カメラの色再現に合わせてストックを最適化。
- CineMatch はセンサー段階で整合を取るため、マルチブランド構成でも短時間で足並みが揃う。
2) 編集〜仕上げの効率化
- CineMatch で“共通の土台”を作り、Nitrate でストックとグレインを適用。
- Nitrate の 3D LUT 書き出し で VFX/オンライン/QC に同一のルックを配布。
3) 説得力あるフィルム美と技術的制御
- グレイン応答カーブにより、トーンに追従する質感コントロールが可能。
- Halation/Hazy が、デジタル処理では失われがちな光学的リアリズム(ハイライトのグローやベール)を補う。
4) 最新規格への適応
- Apple Log 2/ARRI LogC4/F-Log2 などのログフォーマットに対応。
- Halation/Hazy は ACES/DWG/HDR への入力ガンマ指定で、色管理ワークフローに容易に適合。
5) 調達と運用のしやすさ
- 永続ライセンス と 3 台アクティベーションで、編集ベイやグレーディング室への展開が簡単。
- Camera Pack Downloader により、プロファイル取得や整合の手間を低減。
ユースケース
A) マーケ/コーポレート制作
・課題:ミラーレス+シネマ+スマホの混在で肌やロールオフが不揃い。
・解決:まず CineMatch で整合 → Nitrate の日中向けストックなどで基調を作り、肌には Hazy を軽く。
B) ドキュメンタリー/ニュース
・課題:アーカイブ/LOG/スマホ素材が混在、短納期。
・解決:CineMatch で迅速に整合し、Nitrate のストックでムード/時代感を付与、夜景には Halation。
C) ストリーミング/シリーズ/ブランド案件
・課題:複数ベンダー間でルックを維持。
・解決:Nitrate で ショールック用 LUT を作成し、受け渡しで厳密に運用。LED ウォールの高コントラストは Hazy で馴染ませる。
D) ポストプロダクション
・課題:納品バラつきと再マッチ作業の浪費。
・解決:CineMatch+Nitrate のテンプレ化。受入カメラに応じた カメラ対応ライブラリ を整備。
E) 教育/トレーニング
・課題:フィルム美学をコストを抑えて教授。
・解決:ストックカタログ と グレイン/カーブ制御 で、ストック挙動と質感を視覚的に学習。
競合との違い
- プリセット中心の外観付与ツール と比べ、FilmConvert は カメラ認識型エミュレーション と センサー整合 を重視し、正確なベースグレードから創作に入れる点が強み。
- ホスト内蔵のフィルム風機能 と併用も可能だが、FilmConvert は 実測に基づくストック、3D LUT 書き出し、主要ホスト横断の同等挙動 により、編集〜仕上げ〜共有までの一貫性を高める。
FAQ
Q1. 対応ホストと OS は?
A. Premiere Pro/After Effects(macOS & Windows)、DaVinci Resolve(macOS & Windows/OFX)、Final Cut Pro(macOS)に対応。詳細は各製品の要件を参照してください。
Q2. サブスクリプションですか?アクティベーション数は?
A. サブスクリプションではありません。Nitrate/Halation/Hazy は永続ライセンスで、各製品 1 ライセンスにつき 3 台までアクティベーション可能です。Halation を Nitrate のアドオンとして導入した場合は、Nitrate の座席数に準じます。
Q3. FilmConvert Pro と Nitrate の違いは?
A. FilmConvert Pro はレガシー版で、現行は Nitrate。Nitrate は継続的な更新とカメラパックに対応し、Pro からの アップグレードも可能です。
Q4. カメラパックは必須ですか?
A. Nitrate ではカメラ認識型エミュレーションの要となるため推奨です。未掲載機種は近い特性のプロファイルを試すか、追加リクエストが可能です。Hazy と Halation(単体) はカメラパック不要で、入力ガンマ指定に対応します。
Q5. Nitrate は LUT を書き出せますか?
A. はい。3D LUT 書き出しに対応しており、オンセット監視や VFX、オンライン、検収まで統一ルックを配布できます。
Q6. 新しいログフォーマットに対応していますか?
A. はい。Apple Log 2/ARRI LogC4/F-Log2 などの最新ログフォーマットに対応しています。
Q7. CineMatch は単なるカラースペース変換と何が違いますか?
A. まず センサー挙動 を整合させ、その後にターゲットの色再現を適用するため、色空間変換のみより 忠実なマッチ を得やすい点が異なります。
Q8. Halation/Hazy は ACES/HDR で使えますか?
A. はい。入力ガンマ(ACES/Linear/DWG/HDR)を選択でき、色管理されたショーにも適合します。


