サマリー
EverMapは、Adobe Acrobatの環境内で、プロフェッショナルなPDF作業を効率化・自動化するためのソフトウェア製品群を提供しています。 大量の文書を扱い、同じ処理を確実に繰り返せること(再現性)や、結果を監査・検証できること(説明可能性)が求められる組織に向けて設計されています。 製品ラインアップには、文書の分割/結合/リネーム、しおりや目次の作成、PDFから表形式データを抽出してスプレッドシートへ出力、 メールアーカイブ(PDFポートフォリオ)の変換、コマンドラインからのAcrobatバッチアクション実行、機密情報の墨消し(削除型)、 大量PDFへのパスワード保護、検索・レポート生成などが含まれます。
企業の情報システム部門や導入判断者にとっての価値は明確です。手作業で行われがちなAcrobat操作を減らし、部門や担当者によるばらつきを抑え、 処理量の増加にも対応できるようにします。多くの製品はAcrobatのメニューに統合され、バッチ実行や自動化フレームワークを通じて反復処理を前提とした運用が可能です。 既存のAcrobat中心の業務フローを大きく変えずに、処理の標準化と効率化を進めたいケースで適合しやすい構成です。
主要製品としては、AutoSplit(分割/結合/抽出/自動リネーム)、AutoBookmark(しおり/リンク/目次などのナビゲーション整備)、 AutoRedact(削除型の墨消し)、AutoMailMerge(PDFフォームの差し込み生成)、AutoPortfolio(PDFポートフォリオの変換・添付処理・メタデータ出力)などがあります。 さらに、ガバナンス寄りの用途として、AutoMassSecure(大量PDFのパスワード保護)、AutoDocSearch(検索・レポート・整理)、AutoMetadata(メタデータ一括編集)なども組織運用に貢献します。
概要:なぜ企業はPDF運用でつまずくのか
現代の企業がPDF運用で苦労する理由は、「PDFが難しいから」ではありません。PDF業務が、反復的で、大量で、締切に追われ、しかもミスが許されにくいからです。
- 経理部門では、請求書・明細・月次パックを分割し、名称を整え、セキュリティを適用して配布する必要があります。
- 人事部門では、入社書類・給与明細・規程類など、機密性と配布の正確性が必須です。
- 法務・コンプライアンス・調査部門では、メールアーカイブや証拠資料を変換・正規化し、統一ルールで準備する必要があります。
- 運用部門では、文書リポジトリのナビゲーションやメタデータ整備が、情報の使いやすさを左右します。
EverMapの製品群は、こうした作業をAdobe Acrobat内でスケールさせるために、特化型の自動化プラグインとユーティリティを提供します。 分割・結合、しおり・リンク管理、データ抽出、ポートフォリオ/メール変換、墨消し、パスワード保護、検索・レポート、コマンドライン実行などを、実務運用で回せる形に整理します。
EverMapとは
EverMapはPDF文書処理ソフトウェアの製品ラインを提供しており、多くはAdobe Acrobat(StandardまたはPro)向けのプラグインとして動作します。 加えて、メタデータ編集のためのスタンドアロン製品も含まれます。
導入観点での特徴は以下です。
- 既存のAcrobat中心の業務フローに合わせ、Acrobatの中で処理を完結しやすい
- 分割/リネーム/しおり/墨消し/変換/抽出/セキュリティ/検索など、用途別に目的に特化した操作を提供
- バッチ処理や自動化により、手順の再現性を高め、大量処理に適合させる
製品一覧
- AutoSplit(PDFの分割/抽出/結合/自動リネーム)
- AutoBookmark(しおり、リンク、名前付き移動先、ハイライト、目次生成)
- AutoExtract(PDFからスプレッドシート形式へデータ抽出)
- AutoMailMerge(構造化データからPDFフォームを差し込み生成)
- AutoPortfolio(PDFポートフォリオ/メールの変換、添付・メタデータ出力、レポート)
- AutoBatch(Acrobatバッチアクションをコマンドラインから実行し、パラメータ指定に対応)
- AutoDocSearch(検索/レポート/整理、テキスト抽出)
- AutoDocMail(宛先抽出または対応表によりPDFを自動メール送信)
- AutoRedact(機密情報の削除型墨消し)
- AutoMassSecure(PDFの一括パスワード保護、ファイルごとのパスワード対応)
- AutoPagex(高度なページ管理とページ内容編集)
- AutoInk(ペン入力向け注釈/ハイライト、手書き→テキスト化補助)
- AutoMetadata(複数PDFのメタデータ/設定を一括編集できるスタンドアロン)
導入メリット
1)標準化:チーム間で結果をブレさせない
企業で高コストになるのは「作業そのもの」よりも、「同じ作業を大量に、複数人・複数部門で、入力が揺れる状態で、要件変更に耐えながら繰り返す」ことです。 EverMapのプラグインは、ルール定義と反復実行を前提にしており、ファイル名、格納先、ナビゲーション構造、セキュリティ設定などの成果物を一定化しやすくします。
(例)
- しおり命名や目次体裁、リンク構造のばらつきを削減
- 抽出値を含む命名規則で検索性や保管運用を改善
- メールアーカイブ処理の出力形式を統一し、後工程の作業を安定化
※効果は文書品質やテンプレート整備、設定ルールに依存します。
2)生産性:手作業の多段操作を減らす
分割/結合、リネーム、ナビゲーション整備、ポートフォリオ変換、墨消し、パスワード付与など、手作業ではメニュー操作と確認工程が多くなりがちです。 EverMapは、こうした処理を目的別に整理し、繰り返し実行しやすい形で提供します。
3)リスク低減:セキュリティ事故・誤配を防ぐ
PDF業務には、間違えると損失が大きい作業が含まれます。
- 墨消しミスによる機密漏えい
- メール誤送信によるプライバシー・コンプライアンス問題
- パスワード設定ミスによる閲覧不能/保護不備
EverMapには、削除型墨消しや一括セキュリティ付与、宛先抽出による配信自動化など、ガバナンスを意識した製品が含まれます。
4)自動化適性:バッチ運用・外部オーケストレーションに寄せられる
企業の自動化は、単に「早い」だけでなく、スケジュール実行、手順の固定化、ログの扱い、運用担当の交代に耐えることが重要です。 EverMapは、Acrobatのバッチアクションをコマンドラインから実行できるなど、運用に組み込みやすい設計を志向しています。
5)ITガバナンス適性:要件が明確で展開計画を立てやすい
導入計画では、Acrobatのエディション、対応OS、プラグインがReaderで動作しない点などを踏まえた、ライセンスと展開の設計が必要です。 ワークフローに必要な機能が、Standard/Proどちらを要するかを整理し、標準端末イメージや配布計画に反映することが重要です。
一般的な競合・代替手段との比較
企業がPDF処理を検討する際の選択肢は、一般的に次のように整理できます。
- 人手によるAcrobat作業(柔軟だが大量処理に不向きで、品質が担当者に依存しやすい)
- スタンドアロンのPDFユーティリティ(処理は速いが、既存のAcrobat運用や手順と乖離しやすい)
- スクリプト主体の自動化(高度だが、開発・保守・運用管理の負担が増えやすい)
- ワークフロー/文書管理プラットフォーム(統合的だが、PDF単体の細かい処理には過剰になる場合がある)
EverMapは、Acrobat中心の運用を維持しながら、用途に特化した自動化を追加することで、標準化と反復実行を実務に落とし込みやすい点が特徴です。
社内稟議・ビジネスケースに使える導入効果例
以下は例示であり、実際の効果は対象文書と運用設計により変動します。可能であれば小規模パイロットで検証してください。
例A:売掛請求書パック → 分割+リネーム+セキュリティ+配信
Before: 結合PDFを開いて手作業で分割、名称付け、パスワード付与、メール送信
After(案):
- AutoSplitで分割・自動命名
- AutoMassSecureでファイルごとのパスワード適用
- AutoDocMailで宛先抽出または対応表により配信
期待効果: 手作業削減、命名統一、誤送信リスク低減
例B:規程集・技術資料 → しおり+目次+リンク整備
Before: しおり不足で探索性が低く、参照リンクが壊れやすい
After(案): AutoBookmarkで階層しおりと目次を整備し、リンク生成や検証を支援
期待効果: 問い合わせ低減、利用者の探索時間短縮
例C:法務・調査のメールエクスポート → ポートフォリオ変換+添付処理+メタデータ出力
Before: ポートフォリオのままでレビューしづらく、添付の扱いが煩雑
After(案): AutoPortfolioで通常PDF化し、添付処理・メタデータ出力・レポート生成
期待効果: 準備工数削減、証拠パッケージの整合性向上
製品紹介
AutoSplit:AcrobatでPDFを分割・結合・抽出・重複排除・自動リネーム
概要
- しおり、ページ規則、テキストパターン、空白ページなど多様な条件で分割
- 複数ファイルの結合、抽出、特定条件に基づくページ削除
- 文書テキストやメタデータなどを使った自動リネーム
- 大量処理に適した反復運用を想定
主な用途例
請求書・明細・報告書の分割、例外ページ抽出、文書分類に基づくルール適用など。
AutoBookmark:しおり・リンク・名前付き移動先・ハイライト・目次生成
概要
- テキスト属性(フォント、サイズ、インデント等)や内容に基づきしおりを自動生成
- テキスト検索パターンに基づくリンク生成
- しおりから目次を生成し、エントリをリンク化
- 長文PDFの可用性を向上
AutoMailMerge:PDFフォーム差し込みによるパーソナライズPDF生成
概要
- ひな形フォーム+データファイルから、複数の個別PDFを生成
- 請求書、明細、通知、証明書などの一括出力に適合
AutoExtract:PDFから表形式データを抽出しスプレッドシート化
概要
- 位置指定やテキストパターンに基づく抽出ルールを設計
- 再入力を減らし、後工程の集計や登録作業を支援
AutoPortfolio:PDFポートフォリオ(メールアーカイブ)を通常PDFに変換
概要
- ポートフォリオを通常PDFへ変換
- 添付の抽出・変換、メタデータの出力(表形式・HTML等)
- レポート生成、フィルタ/検索、選別処理などを支援
- 調査・監査・レビュー向けの整理作業に適合
AutoBatch:Acrobatバッチアクションのコマンドライン実行
概要
- バッチファイル等からバッチアクションを実行
- 入出力パス等をパラメータとして受け渡し
- 運用手順への組み込みや外部ジョブ制御に寄せやすい
AutoDocSearch:検索・レポート・抽出・整理
概要
- 複数キーワードやパターンでの検索
- 検索結果レポート生成、ハイライト、抽出、振り分けなどを支援
AutoDocMail:PDFの自動メール配信(宛先抽出/対応表)
概要
- 文書から宛先情報を抽出、または対応表で宛先を割当
- 件名・本文のテンプレート化、必要に応じたセキュリティ適用の設計にも対応
AutoRedact:削除型の墨消し(機密情報の除去)
概要
- 文字、注釈、フォームフィールド、ベクター情報、画像情報などを対象に、削除を伴う墨消しを支援
- 手動・自動のマーキング手法を組み合わせ、分配前の安全性を高める
AutoMassSecure:一括パスワード保護(ファイルごとパスワード対応)
概要
- 大量PDFをまとめて保護
- ファイルごとに異なるパスワード生成に対応(対応表、抽出、ランダム等)
AutoPagex:ページ管理とページ内容編集の自動化
概要
- ページ移動、分割、複製、サイズ変更、空白ページ挿入/削除、順序反転
- コンテンツ整形(フィット、スケール、回転、位置調整等)
- 文書統計情報の出力などを支援
AutoInk:ペン入力向け注釈・ハイライト
概要
- ペンやハイライターでの注釈作業を支援
- 手書きインクをテキストや付箋に変換する補助機能を提供
AutoMetadata:スタンドアロンのメタデータ一括編集
概要
- Acrobat不要で、複数PDFのプロパティや閲覧設定、メタデータを確認・更新
- 大量文書のメタデータ整備・統制に適合
システム要件と展開時の考慮点
- 多くの製品はAdobe Acrobat(StandardまたはPro)を前提とするプラグインです
- Adobe Acrobat Reader(無料版)では動作しません
- OS要件や対応Acrobatバージョンは製品ごとに異なるため、導入計画では対象端末の標準構成と突合が必要です
- コマンドライン運用やバッチ実行を前提とする場合、対象製品が要求するAcrobatエディションや運用権限(実行ユーザー、端末運用、ログ保全等)を整理してください
ユースケース
Finance/シェアードサービス
- 大量PDFの分割・命名・保護・配信の標準化
- 例:AutoSplit+AutoMassSecure+AutoDocMail
人事
- 給与明細・通知文の分割と個別配布、機密性担保
- 例:AutoSplit+AutoMassSecure+AutoDocMail
法務/調査/監査
- メールアーカイブの変換、添付処理、メタデータ出力、レビュー準備
- 例:AutoPortfolio+(必要に応じて)AutoRedact
技術文書/規程管理
- 長文PDFの探索性向上(しおり・目次・リンク)と更新に強い構造化
- 例:AutoBookmark+AutoMetadata
FAQ
Q1. EverMap製品は単体で使えますか?Acrobatは必要ですか?
多くはAdobe Acrobat向けプラグインとして動作します。メタデータ編集のためのスタンドアロン製品もあります。
Q2. AcrobatはStandardとProのどちらが必要ですか?
製品や使い方により異なります。必要な運用(バッチ実行やコマンドライン運用を含む)に合わせて、要件を整理してください。
Q3. バッチ処理や自動化に対応していますか?
バッチ実行や自動化を前提とした製品が含まれます。運用の自動化レベル(端末実行/スケジュール/外部ジョブ連携等)に合わせて設計してください。
Q4. Outlookなどのメールアーカイブ(ポートフォリオ)に対応できますか?
メールを含むポートフォリオの変換や添付処理、メタデータ出力などを支援する製品があります。
Q5. 墨消しは「隠す」のではなく削除できますか?
削除を伴う墨消しを支援する製品があります。共有前の安全性を高める用途に適合します。
Q6. PDFごとに異なるパスワードを自動で付けられますか?
ファイルごとのパスワード付与を想定した製品があります。対応表、抽出、ランダム等の運用設計が可能です。
Q7. 分割して、宛先ごとにメール配信する運用は可能ですか?
分割、宛先割当、配信を組み合わせた運用設計が可能です。対象文書の形式・ルール整備が重要です。
Q8. しおりや目次など、ナビゲーション整備に使えますか?
しおり、リンク、目次生成など、長文PDFの可用性を高める機能を提供する製品があります。
Q9. ポートフォリオ内で変換できるファイル形式は?
Acrobat側の変換環境に依存します。特定形式では関連ソフトが必要になる場合があります。



