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はじめに:IOCが散らばると初動が遅くなる理由
脅威インテリジェンスやインシデント対応の現場では、IPアドレス、ドメイン、メールアドレス、ハッシュ値、ユーザー名などのIOC(Indicators of Compromise)が、複数のツールやデータソースに分散しがちです。
そのたびに別々のサイトやデータベース、社内システムを行き来していると、初動調査に時間がかかるだけでなく、重要なつながりを見落とす原因にもなります。
そこで重要になるのが、単に情報を検索することではなく、複数のIOCを一元化し、関係性を整理し、追加調査まで進められる基盤です。
本記事では、脅威インテリジェンス調査を速めるために確認したい6つの評価基準と、短期間で見極めやすいPoCの進め方をまとめます。
脅威インテリジェンス調査で本当に必要なものとは?
脅威インテリジェンス調査では、「多く検索できること」よりも、見つけた情報を判断材料に変えられることが重要です。
たとえば、ドメインを調べる、IPを確認する、漏えい情報を確認するといった単発の確認は個別ツールでも行えますが、それらを横断して関連付け、全体像として把握する作業は別問題です。
- 検索エンジン:単発の情報探索には便利だが、関係整理や共有は別作業になりやすい
- 単体の脅威インテリジェンスDB:特定領域の深掘りには強いが、他ソースとの横断や可視化は弱いことがある
- 調査基盤型ツール:複数の情報源をつなぎ、可視化・深掘り・共有まで一連で進めやすい
ポイントは、「何件ヒットしたか」ではなく、IOC同士のつながりをどれだけ早く整理し、次のアクションに結びつけられるかです。
失敗しない選定:6つの評価基準
脅威インテリジェンス向けツールは、データソース数や画面の見た目だけで比較すると失敗しやすくなります。
実務で差が出やすいのは、次の6つの観点です。
-
関係性の可視化
重要:IP、ドメイン、メールアドレス、人物、組織などを関係図として整理できるか/クラスターや関連経路を把握しやすいか -
外部データと内部データの統合
重要:公開情報だけでなく、SIEM、SOAR、チケット管理、社内DBなど既存データとつなげられるか -
深掘り調査のしやすさ
重要:1つのIOCから関連先へ段階的に広げる調査がしやすいか/仮説検証を素早く回せるか -
ケース共有と引き継ぎ
重要:担当者個人の作業で終わらず、レビュー・共同調査・引き継ぎができるか -
管理性とセキュリティ
重要:アクセス制御、保存先、監査しやすさなど、組織運用に必要な条件を満たせるか -
教育と定着
重要:導入して終わりではなく、新人でも立ち上がりやすいか/チームで使い方を揃えやすいか
小さく始めるPoC手順
PoCでは「何でもできるか」を見るより、自社の脅威インテリジェンス調査フローに乗るかを確認するのが近道です。
短期間で判断するなら、次の進め方が現実的です。
- 対象を1つに絞る:例:フィッシング調査、マルウェア関連インフラ調査、脅威アクター追跡など
- 起点IOCを固定する:ドメイン、IPアドレス、ハッシュ、メールアドレスなど、実務でよく使う起点を選ぶ
- 連携範囲を最小化する:外部データ1系統+内部データ1系統など、比較しやすい構成で始める
- 成果物を先に決める:関係図、調査メモ、ケース記録、報告用サマリーなど、何が出れば成功かを定義する
- 評価軸を固定する:初動時間、見落としの減少、引き継ぎやすさ、説明しやすさを同条件で比較する
重要なのは、「情報がたくさん出たか」より、調査の流れが短くなったか、判断がしやすくなったかを見ることです。
Maltegoが向くケース
こうした観点で見ると、Maltegoは、脅威インテリジェンス調査で必要になる可視化・データ統合・ケース共有を一連で進めやすい製品です。
単に検索結果を並べるのではなく、複数のIOCや関連情報をグラフで整理しながら、追加調査やチーム共有につなげやすい点が特長です。
- 関係性の可視化:IP、ドメイン、メールアドレス、人物、組織などのつながりを整理しやすい
- データ統合:公開情報、商用データ、社内システムを組み合わせた調査フローを組み立てやすい
- 深掘り調査:1つのIOCから関連先へ展開し、仮説を検証しながら調査を進めやすい
- チーム運用:ケース単位で共有し、レビューや引き継ぎを行いやすい
- 導入定着:学習コンテンツやトレーニングを活用しながら、部門内で運用を揃えやすい
特に、SOC、CSIRT、脅威ハンティング、脅威インテリジェンスの現場で、散在するIOCを整理して調査を前に進めたい場合に相性のよい選択肢です。
※効果や運用のしやすさは、連携するデータソース、対象ユースケース、社内体制によって変わります。PoCで自社条件に合わせて確認するのが確実です。
まとめ:次にやること
脅威インテリジェンス調査では、単にIOCを集めるだけでなく、それらの関係性をどう整理し、どう次の判断につなげるかが重要です。
まずは6つの評価基準で比較軸を固定し、PoCでは起点IOC→深掘り→共有→説明までを短い流れで確認してみてください。
当ブログでは今後も、さまざまな知見やリサーチ結果を実務にどう結びつけるかという観点で発信してまいります。
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