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はじめに:SOCに求められるドメイン調査の効率化
SOC(セキュリティオペレーションセンター)やCSIRTの現場では、日々大量のアラート、URL、ドメイン、IPアドレス、メール関連の不審な痕跡に対応する必要があります。
その中で重要になるのが、「このドメインは本当に危険なのか」「関連する攻撃インフラはほかにも存在するのか」「どのアラートから優先的に対応すべきか」を短時間で判断することです。
従来の調査では、1つのドメインを起点に、登録情報、DNS、パッシブDNS、SSL/TLS証明書、ホスティング履歴、リスクスコアなどを複数の画面やツールで確認する場面が多くありました。
しかし、攻撃者のインフラは単独のドメインだけで完結しているとは限りません。複数のドメイン、IPアドレス、ネームサーバー、証明書、過去の名前解決履歴がつながっているケースもあります。
DomainTools MCP Serverは、こうしたドメインインテリジェンスをAIワークフローの中で活用し、SOCの調査をより効率的に進めるための仕組みです。
本記事では、動画で紹介されている内容をもとに、DomainTools MCP ServerがSOC業務にどのように役立つのかを、実務運用の観点から整理します。
DomainTools MCP Serverとは
DomainTools MCP Serverは、MCP(Model Context Protocol)に対応したAIクライアントから、DomainToolsのドメイン脅威インテリジェンスを利用できるようにする仕組みです。
これにより、アナリストは自然言語で質問するように、不審ドメインのリスク確認や関連インフラの調査を進めやすくなります。
たとえば、AIクライアント上で「このドメインのリスクを確認したい」「関連するインフラを洗い出したい」「過去のDNS履歴を確認したい」といった流れで調査を進めることができます。
重要なのは、AIに根拠のない推測をさせるのではなく、DomainToolsが持つドメイン、DNS、登録情報、リスク評価、履歴情報などのデータを、AIワークフローの中で使いやすくする点です。
- 自然言語による調査
ドメインやインフラに関する確認作業を、AIクライアント上で会話するように進めやすくなります。 - DomainToolsのデータ活用
リスクスコア、登録情報、ホスティング履歴、パッシブDNSなど、調査に必要な情報を参照できます。 - 画面切り替えの削減
複数のツールや画面を行き来する負担を減らし、調査の流れを整理しやすくなります。 - 調査結果の要約
取得した情報をもとに、アナリストが判断しやすい形で整理する作業にも活用できます。
MCP Serverは、DomainToolsを単なる検索ツールとして使うのではなく、AIを活用したSOC運用の中に組み込むための接続口として活用できます。
ドメインインフラを「点」ではなく「面」で捉える
セキュリティ調査では、アラートに含まれる1つのドメインやIPアドレスだけを確認して終わりにしてしまうと、攻撃インフラ全体を見落とす可能性があります。
攻撃者は、複数のドメインを使い分けたり、同じネームサーバーや証明書、ホスティング環境、登録パターンを使い回したりすることがあります。
DomainToolsでは、ドメインを起点に、登録情報、DNS、SSL/TLS証明書、パッシブDNS、ホスティング履歴、関連インフラなどを確認できます。
これにより、単一のIOCを「点」として見るだけでなく、その背後にある攻撃インフラを「面」として捉えやすくなります。
- 同じインフラを使うドメインの確認
IPアドレス、ネームサーバー、証明書などの共通点から、関連するドメインを調査しやすくなります。 - 履歴情報を使った深掘り
現在の状態だけでなく、過去の名前解決やホスティングの変化を確認することで、攻撃インフラの流れを追いやすくなります。 - リスクの高い対象の絞り込み
関連ドメインの中から、リスクが高いものや優先的に確認すべきものを整理しやすくなります。 - 調査の抜け漏れ防止
1つのドメインだけに注目するのではなく、関連する痕跡を広く確認することで、見落としを減らしやすくなります。
SOCにおける調査では、単発の悪性判定だけでなく、「どこまで関連しているのか」「ほかに同じ攻撃基盤が使われていないか」を把握することが重要です。
DomainTools MCP Serverは、その調査の流れをAIワークフロー上で進めやすくします。
AIワークフローで変わるSOC調査の進め方
DomainTools MCP Serverを活用すると、SOCアナリストは調査の流れを自然言語で組み立てやすくなります。
たとえば、不審なドメインが検出された場合、まずリスクスコアや登録情報を確認し、次にDNSや証明書、ホスティング履歴を確認し、さらに関連するドメインへ調査を広げる、といった流れを取ることができます。
従来は、こうした確認作業を複数の画面で行ったり、APIクエリを個別に作成したりする必要がありました。
MCP連携を利用することで、調査に必要な情報をAIクライアントから呼び出し、結果を整理しながら次の調査へ進めやすくなります。
- 初動調査の効率化
不審ドメインの基本情報、リスク、登録情報、関連インフラを短時間で把握しやすくなります。 - ピボット調査の支援
1つの情報を起点に、IPアドレス、ネームサーバー、証明書、履歴情報などへ調査を広げやすくなります。 - 調査結果の整理
取得した情報を要約し、インシデント対応やチケット記録に使いやすい形へまとめやすくなります。 - 作業の標準化
熟練アナリストが行う調査の流れを、チーム内で再現しやすくなります。
AIがアナリストの判断を置き換えるわけではありません。
DomainToolsのデータを参照しながら、調査の入口、情報整理、次に確認すべき観点の洗い出しを支援することで、アナリストがより重要な判断に集中しやすくなります。
大量アラートのトリアージを支援
SOCでは、SIEM、EDR、メールセキュリティ、プロキシ、DNSログなど、さまざまなシステムから大量のアラートやドメイン情報が集まります。
そのすべてを同じ優先度で確認するのは現実的ではありません。
DomainToolsのリスク情報やインフラ情報を活用することで、調査すべき対象の優先順位を付けやすくなります。
たとえば、リスクスコアが高いドメイン、登録情報やインフラに不審な特徴があるドメイン、過去の観測履歴から関連性が疑われるドメインなどを優先的に確認できます。
- 高リスクドメインの抽出
大量のドメインの中から、優先的に確認すべき対象を見つけやすくなります。 - アラートの文脈付け
単なるドメイン名だけでなく、登録情報、DNS、履歴、関連インフラを含めて判断しやすくなります。 - 対応優先度の整理
どのアラートを先に確認するべきか、ブロックや監視が必要かを判断する材料として活用できます。 - 調査時間の削減
手作業での確認を減らし、アナリストが本当に確認すべき対象へ集中しやすくなります。
大量アラートの対応では、「すべてを見る」よりも「重要なものを見落とさない」ことが重要です。
DomainTools MCP Serverを活用することで、AIワークフローの中で情報を整理しながら、トリアージの精度とスピードを高めやすくなります。
IrisQLで高度な脅威調査をより柔軟に
DomainToolsでは、Iris Investigateの高度な検索をテキストベースで扱うためのIrisQLも利用できます。
IrisQLを使うことで、ドメイン名、リスクスコア、TLD、作成日、ネームサーバー、IPアドレス、ASN、証明書、Web関連情報など、複数の条件を組み合わせた検索を行いやすくなります。
たとえば、特定の文字列を含むドメイン、一定以上のリスクスコアを持つドメイン、特定のインフラ条件に一致するドメインなどを、構造化されたクエリで抽出できます。
調査条件をテキストとして扱えるため、チーム内で共有したり、過去の調査条件を再利用したりしやすい点もメリットです。
- 複雑な検索条件の作成
複数の条件を組み合わせて、調査目的に合ったドメインを絞り込みやすくなります。 - 脅威ハンティングへの活用
攻撃キャンペーンに関連しそうなパターンを条件化し、継続的な調査に活かせます。 - クエリの共有と再利用
テキストベースの検索条件として保存・共有できるため、チーム運用に組み込みやすくなります。 - 調査観点の標準化
よく使う検索条件を整備することで、担当者ごとの調査品質のばらつきを抑えやすくなります。
MCP Serverによる自然言語の調査支援と、IrisQLによる構造化された検索を組み合わせることで、SOCの調査はより柔軟で再現性のあるものになります。
実務で活用する際のポイント
DomainTools MCP Serverは便利な仕組みですが、実務で効果的に活用するためには、SOCの既存ワークフローに合わせて利用方法を整理することが重要です。
どのアラートで使うのか、どの情報を判断材料にするのか、調査結果をどのようにチケットや報告に残すのかを決めておくことで、日々の運用に組み込みやすくなります。
- 調査対象を明確にする
フィッシング、マルウェア通信、ブランドなりすまし、不審URLなど、どのユースケースで利用するかを整理します。 - 確認する情報を決めておく
リスクスコア、登録情報、DNS、証明書、履歴情報、関連インフラなど、判断に必要な項目をあらかじめ整理します。 - 判断基準をチームで共有する
どの状態なら監視、ブロック、追加調査、エスカレーションを行うのかを共有しておくと、対応のばらつきを抑えやすくなります。 - AIの出力を確認可能な情報と結びつける
AIの要約だけに頼らず、DomainToolsのデータに基づく根拠を確認しながら判断することが重要です。 - 既存ツールとの役割分担を整理する
SIEM、SOAR、TIP、チケット管理、インシデント対応手順の中で、どの場面に組み込むかを検討します。
AIをSOCに取り入れるうえで大切なのは、単に自動化することではありません。
信頼できるデータを、アナリストが使いやすい形で取り出し、判断しやすい流れを作ることが重要です。
まとめ:DomainTools MCP ServerでSOC調査をより実務的に
DomainTools MCP Serverは、DomainToolsのドメインインテリジェンスをAIワークフローの中で活用するための仕組みです。
不審ドメインのリスク確認、関連インフラの洗い出し、パッシブDNSによる履歴確認、複数ドメインのトリアージ、調査結果の整理など、SOCやCSIRTの実務に役立つ場面が多くあります。
重要なのは、AIに判断を任せきることではなく、DomainToolsが持つ信頼性のあるデータを、AIクライアントから使いやすくすることです。
これにより、アナリストは複数の画面を行き来する負担を減らし、攻撃インフラの関連性や対応優先度の判断に集中しやすくなります。
単一のIOCを確認するだけでは見えにくい攻撃インフラのつながりを把握し、ドメインを「点」ではなく「面」で捉えること。
DomainTools MCP Serverは、AI時代のSOC調査をより効率的で実務的なものにするための有効な選択肢です。
当ブログでは今後も、セキュリティと実務運用の両面から役立つ情報を発信してまいります。
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