目次
はじめに
直近のHGSアップデートは、入出力の効率化、河川表現の安定化、 運用の安心感を強化しました。大規模モデルや長期ラン、頻繁な出力を行う現場で効果が出ます。
HydroGeoSphere (HGS) とは
HGSは、地表水と地下水を一体で解く統合水文学モデルです。 流域全体の水循環や物質輸送を、現実に近い形で再現できます。
主なアップデート内容(2025年7・8月)
バイナリ出力の最適化:速い・軽い
- ポイント: 出力の内部構造を見直し、読み書きが高速化。ファイルも小さく。
- 効果: 高頻度出力や長時間ランでも処理が詰まりにくい。
- 使いどころ: 30分〜1時間間隔など、細かい時系列を残したいプロジェクト。
1Dチャネル貯留の見直し:河川計算が安定
- ポイント: チャネル形状に応じた貯留計算を精査・修正。
- 効果: ピーク流量・水位の挙動が一貫し、評価がしやすい。
- 使いどころ: 洪水ピーク、背水影響、河道改修の効果検証など。
再起動ファイルの扱い改善:運用が安心
- ポイント: 正常終了時のみ再起動ファイルを出力。
- 効果: 途中停止による破損を回避し、バッチ運用が安定。
- 使いどころ: スケジューラ連携、夜間・週末の自動実行。
ゾーンマッピング高速化:広域モデルに効く
- ポイント: 広域モデルでのゾーン適用を高速化。
- 効果: 地質区分・境界条件の更新が実務的な時間で完了。
- 使いどころ: 条件更新を頻繁に行う流域スケールのケース。
水量出力の追加:可視化・評価がしやすい
- ポイント: 地表域・多孔質域の水量(volume)を新たに出力可能に。
- 効果: 可視化や体積評価がシンプルになり、貯留・損失の把握が容易。
- 使いどころ: 貯留量の時系列把握、ダッシュボード化、関係者共有。
HydroSphereAI の近況
- 予測の「幅」を提示: 短期は高精度、先の期間はレンジで表示。意思決定を後押し。
- 実運用イメージ: 新着データで自動更新。ピーク時刻や規模の把握に有効。
活用アイデア
- 高頻度出力: I/O最適化を活かして細かい間隔でも保管・処理が現実的。
- 河川区間の比較: チャネル貯留の改善で、形状が異なる区間も比較しやすい。
- 自動実行の信頼性UP: 再起動ファイル改善で「完了→後処理」の自動フローが組みやすい。
- 前処理の短縮: ゾーンマッピング高速化で条件更新のサイクルを短く。
- 体積・貯留の見える化: 新しい水量出力で空間分布をわかりやすく共有。
まとめ
HGSは、速さ・安定・運用性・見える化を底上げしました。 大規模・長期・高頻度という現場要件に、そのまま効くアップデートです。
当ブログでは今後も様々な製品をさらに便利に使いこなすための情報を発信してまいります。
ぜひブックマークのうえ、最新記事をお見逃しなく!