サマリー
VB Decompiler は、Visual Basic 5.0/6.0 と .NET で構築されたアプリケーションの解析・復元に特化したリバースエンジニアリングツールです。レガシー VB コンパイラが生成する P-Code(疑似コード) と Native Code(ネイティブコード) の双方に対応し、さらに .NET の MSIL(C#、VB.NET など)も取り扱えます。VB6/VB5 の P-Code に対しては、レビューや再構築に活用できるレベルまで高水準のソース復元を行い、VB6 の Native Code については専用エミュレータを用いて可読性の高い出力を生成します(ただし、変数名などの完全復元は一般に不可能というデコンパイルの根本的制約があります)。
実務に役立つ機能として、フォームとコントロールの可視化(復元した GUI レイアウトの確認)、文字列検索/参照、任意オフセットからのデコンパイル、低レベル作業向けの HEX エディタ を備えます。上位のバリアントでは、レジスタ/スタック/変数の観測を伴う トレーシング(ステップ実行エミュレーション)が利用でき、マルウェア解析や難易度の高い本番障害調査で特に有用です。近年のバージョンでは .NET デコンパイルが強化され、AI ヘルパーも追加されてコード理解を支援します(VB5/6 の解析にも対応)。
企業情報システムや意思決定者にとっての価値は明快です。
- レガシー業務アプリの継続性: ソース不在やベンダー不在時でも不具合や依存関係を調べ、モダナイゼーションを加速。
- セキュリティ・インシデント対応: 疑わしい VB6 ドロッパや社内ツールを実行せずに解析し、エミュレータ上のトレーシングで安全にロジック追跡。
- コンプライアンス/監査: サードパーティ構成やライセンスのレビュー、挙動の記録、M&A デューデリジェンスの支援に有用。
なぜ一般的な .NET デコンパイラではなく本製品か?
ILSpy や .NET Reflector などの .NET 専用ツールは CIL アセンブリの解析に優れていますが、クラシックな VB6/VB5 実行ファイルを対象としていません。VB Decompiler は クラシック VB(P-Code/ネイティブ) に注力しつつ .NET もカバーし、両世界が混在する環境に実用的です。
運用面では、VB Decompiler は Windows デスクトップアプリで(Wine 上の Linux でも動作)、実行に .NET Framework を要しません。複数のライセンスオプションが用意され、トレーシングや分析機能が追加されたバリアントも存在します。
VB Decompiler — 製品概要と価値提案
VB Decompiler は Visual Basic 5.0/6.0 と .NET のリバースエンジニアリングに特化。ソースがない、緊急で解析が必要といった状況で、P-Code、VB6 ネイティブコード(エミュレータ)、.NET IL を理解し、レガシー VB と .NET アセンブリを単一ワークフローで取り扱えます。
製品紹介
VB Decompiler の機能
- VB6/VB5 の P-Code: 変数名など一部識別子は復元されないものの、原典に近い高水準ソースを再構築し、レビューや再利用を可能に。
- VB6 の Native Code: VB ランタイム API やオブジェクトパターンのカバレッジ拡張を伴い、エミュレーション+デコンパイルでロジック・呼び出し・データフローの分析に十分な可読性を確保。
- .NET アセンブリ: MSIL(x86/x64)をデコンパイルして高水準コードを再構成。v12.1 以降で大きく強化。
- フォーム/UI: フォームとユーザーコントロールを視覚的に復元し、UI 構造やイベント配線をすばやく把握。
対応ファイル種別: EXE、DLL、OCX(クラシック VB 5/6、.NET(C#、VB.NET など))。
P-Code と Native Code の違い
- P-Code(疑似コード): 高水準オペコードで構成され、忠実度の高いデコンパイルに適合。
- Native Code: 最適化された機械語で復元は難度が高いが、VB Decompiler のエミュレータとシグネチャにより可読性が向上。
いかなるデコンパイラでも、完全な元ソースの復元は保証されません。これはデコンパイル一般の制約です。
アーキテクチャと主な機能
- 広範な P-Code カバレッジ: 約 1,400 種類の P-Code 命令をサポートし、復元精度を高めます。
- VB6 ネイティブ・エミュレータ&トレーシング: ステップ実行でレジスタ/スタック/変数を観測し、分岐を追跡—マルウェアの初動評価や難度の高い本番障害に適合。
- ActiveX/API の把握: 外部 ActiveX や VB ランタイム API(MSVBVM)呼び出しのデコンパイル精度を改善。
- フォーム可視化: 復元フォーム/コントロールをグラフィカルに確認。
- ワークフロー支援: 文字列検索/参照、任意オフセットからのデコンパイル、プロシージャ一覧の保存。
- HEX エディタ/パッチ: 研究や統制されたパッチ作業に対応。
- プラグインエコシステム: 例:ShowRef プラグインで参照関係を横断ナビゲーション。
- AI ヘルパー: 解析支援を提供。C# に加え VB5/6 の理解もサポート。
動作環境とプラットフォーム
- Windows 7/8/8.1/10/11(最新更新適用)。Linux(Wine)でも動作。実行に .NET Framework は不要。
導入メリット
企業 IT/アプリケーションオーナー向け
- レガシー保守の加速: ソース管理が不完全でも VB6 業務アプリのロジックを追跡。
- モダナイゼーション準備: フォーム、モジュール、依存関係を把握し、.NET や Web への移行設計を精緻化。
- 継続性とリスク低減: ブラックボックス化を回避し、引き継ぎ・当番対応のための内部ドキュメントを整備。
セキュリティ/DFIR/コンプライアンス向け
- マルウェア/不審バイナリ解析: エミュレータ+トレーシングで安全にロジックを追跡。文字列、API、ActiveX の呼び出しを観察。
- 監査とプロベナンス: 埋め込まれたモジュールやサードパーティ構成、機微文字列を確認。証跡用にプロシージャ一覧を出力。
- ライセンスと IP 管理: VB ランタイム API や OCX の利用実態を把握。
エンジニアリングリーダー/PMO 向け
- 短時間での把握: フォームの視覚化と構造化されたツリーで初期調査を短縮。
- クロススタック対応: VB6/VB5 と .NET を一つのワークフローで扱える。
- 知識の保持: 解析知見をドキュメント化し、将来のメンテナや外部ベンダーに継承。
ユースケース
事例 — インシデント後のソース回復
状況: 内部の VB6 ユーティリティに即時のホットフィックスが必要だが、リポジトリが古い。
アプローチ: EXE/OCX を VB Decompiler に読み込み → P-Code/Native Code と復元フォームを確認 → 該当ロジックと API 呼び出しを特定 → 必要に応じてバイナリをパッチ、または復元ロジックを基に再実装。
効果(イメージ): フルリライトに踏み切らず、数時間で原因特定と対処が可能。
事例 — 疑わしい VB6 ドロッパのトリアージ
状況: EDR がレガシーコンポーネントの異常挙動を検知。
アプローチ: VB Decompiler で逆アセンブル/デコンパイルし、トレーシングでスタック/レジスタを観察。ActiveX 呼び出しや文字列参照を調べ、ネットワーク/ファイルシステム動作を特定。
効果(イメージ): ネイティブ実行を避けて安全に初動評価。IOC 作成に素早く反映。
事例 — UI 起点のモダナイゼーション設計
状況: フォーム中心の VB6 デスクトップツールを Web UI に置き換えたい。
アプローチ: フォーム可視化でコントロール階層、命名、イベント経路を抽出し、スコーピング用にプロシージャ一覧を出力。
効果(イメージ): 各フォーム/イベントハンドラの移行ストーリーが明確に。
事例 — M&A におけるソフトウェアデューデリジェンス
状況: 買収対象に同梱された内部ツールを評価。
アプローチ: 代表的なバイナリをデコンパイルし、プロシージャ、外部依存、埋め込み文字列を棚卸し。リスクと是正方針を記録。
製品機能
P-Code デコンパイルの忠実度
- 高水準オペコードによりロジックを近似復元。約 1,400 コマンドをサポート(変数名など一部は復元不可)。
Native Code エミュレータ
- VB6 ネイティブコードをエミュレーション。複雑な入れ子呼び出しや MSVBVM ランタイム API への対応を継続拡張。
.NET デコンパイル
- v12.1 で追加、以降強化。x86/x64 の管理 IL を対象に、C#/VB.NET の高水準コードを再構成。
フォーム/コントロールの可視化
- v10.5 以降、復元フォームとユーザーコントロールを視覚表示。理解を加速。
ActiveX と API の把握
- 外部 ActiveX コンポーネント呼び出しのデコンパイル、MSVBVM ランタイム関数プロトタイプの拡充で実用可読性を向上。
解析/ワークフロー支援ツール
- 上級機能: 高速デコンパイル(クイックスタート)、任意オフセットからのデコンパイル、文字列参照など。
- プロシージャ一覧の保存: 外部ツールや監査パッケージ向けにエクスポート。
- ディスアセンブラ設定: 機械語ビューを調整。必要に応じて HEX ダンプ。
- プラグイン例(ShowRef): 復元コード全体の参照を横断ナビゲーション。
- AI ヘルパー: C# に加え VB5/6 の説明にも対応。
競合との差別化
クラシック VB にフォーカス(.NET も)
VB Decompiler は VB5/6 の P-Code/ネイティブと .NET を一つのワークフローでカバー。一般的な .NET 専用ツールでは代替しにくい領域を包含。
VBReFormer との比較
VBReFormer は VB5/6 の復元とデザインエディタを強みとします。VB Decompiler は ネイティブコード・エミュレータ、より広い P-Code カバレッジ、ActiveX/API 把握、.NET デコンパイル、AI ヘルパーを備える点が差別化要素。パイロットでの並行評価を推奨。
.NET 専用デコンパイラとの比較
.NET Reflector や ILSpy は CIL 解析に優れる一方、クラシック VB 実行ファイルは対象外。混在環境では クラシック VB+.NET を同時に扱える本製品が実務的。
技術仕様
- 対象言語・ターゲット: Visual Basic 5.0/6.0(P-Code/ネイティブ)、.NET(C#、VB.NET など)。
- ファイル種別: EXE、DLL、OCX。
- 主な機能: P-Code デコンパイル(約 1,400 コマンド)、ネイティブ・エミュレータ&トレーシング、フォーム可視化、文字列検索/参照、任意オフセットからのデコンパイル、HEX エディタ、プラグイン対応、AI ヘルパー。
- 動作環境: Windows 7/8/8.1/10/11、Linux(Wine)。.NET Framework は不要。
FAQ
Q1. VB6/VB5 の P-Code から何が復元できますか?
A. 多くの場合、原典に近い高水準ソースを再構築できますが、変数名など一部識別子は復元されません。再利用前に手直しが必要な場合があります。
Q2. VB6 の Native Code ではどうなりますか?
A. P-Code より復元は難しい領域です。VB Decompiler はエミュレータと API 知識を用い、可読なロジックを提示しますが、元のコードを厳密に再現できるわけではありません。
Q3. .NET アセンブリに対応していますか?
A. はい。v12.1 以降、C#/VB.NET の デコンパイル(ディスアセンブルのみではない)に対応し、x86/x64 IL を扱えます。
Q4. 復元したフォームを見られますか?
A. はい。v10.5 以降、フォームやユーザーコントロールを可視化できます。
Q5. トレーシングはセキュリティ業務でどう役立ちますか?
A. レジスタ/スタック/変数を観測しながらステップ実行できるため、不審バイナリのネイティブ実行を避け、安全にロジック追跡できます。
Q6. 対応プラットフォームは?
A. Windows 7–11。多くのチームが Wine 上の Linux でも運用しています。実行に .NET Framework は不要です。
Q7. どのライセンスを選ぶべきですか?
A. 単体(シングルシート)は個人のメンテナ向け、組織全体向けオプションは複数ユーザー運用に適します。バリアントにより トレーシングや分析機能を含みます。
Q8. 代替ツールはありますか?
A. VB6/VB5 向けには VBReFormer が知られ、.NET では ILSpy や .NET Reflector が広く使われます。VB Decompiler は クラシック VB+.NET と VB 特有のエミュレーションを併せ持つ点が独自です。
Q9. バイナリの修正は可能ですか?
A. HEX エディタにより、規程に則った統制下でのパッチ適用が可能です。

メーカーの製品サイト
https://www.vb-decompiler.org/
【言語】英語




