概要版
Tecplotは、エンジニアや研究者が複雑なシミュレーション、試験データ、リザーバデータを素早く正確に理解するための、プロフェッショナル向け可視化・解析ツール群です。CFD(数値流体力学)や各種シミュレーション、実験結果の「可視的なデータ解析」に重点を置き、生産性向上とエンジニアリングワークフローへのスムーズな統合を支援します。
製品群の中心となるのが Tecplot 360 です。CFDおよび数値シミュレーションのポストプロセス環境として、XY・2D・3Dの統合プロット機能を1つの環境にまとめ、大規模データの処理、自動化されたワークフロー、パラメトリック解析をサポートします。これにより、複雑なモデルの解析と、高品質な静止画・アニメーションによる結果共有が容易になります。
エンジニアリングおよび試験データ向けには Tecplot Focus が用意されています。XY・2D・3Dプロットに加え、極座標プロットや高度なアニメーションなど、柔軟な可視化機能を備えています。試験ベンチや風洞試験、計測キャンペーンのデータまとめ、ルーチンレポートの自動化などに適しており、Windows・Linux・macOSで利用できます。
油・ガス分野向けには Tecplot RS があり、リザーバエンジニア向けに特化したXY・2D・3D可視化環境を提供します。主要なリザーバシミュレータのデータを読み込み、モデル検証やリザーバ挙動解析、経営層向けの説得力あるグラフィックスの作成を支援します。
FieldView はハイエンドCFDポストプロセッサとして位置付けられています。高速なインタラクティブアニメーション、Q-criterionやλ₂といった特徴抽出、Pythonや独自スクリプトによる自動化により、大量のCFDケースの標準化・一括処理を実現します。
自動化とデータ管理の面では、PyTecplot と Tecplot Chorus がTecplot 360を拡張します。PyTecplotはTecplot 360エンジンに直接アクセスするPython APIで、バッチポストプロセスやカスタム計算、他のPythonツールとの連携を可能にします。Tecplot Chorusは、多数のシミュレーションケースを横断的に比較・解析し、傾向や異常、根本原因となる物理現象を探るための設計空間解析ツールです。
一般的なグラフ作成ツールやソルバに付属するポストプロセッサと比べると、TecplotはXY・2D・3Dプロットを統合した環境、高品質なグラフィックス、使いやすさを重視しつつ、Tecplot 360のサブゾーン・ロード・オン・デマンド(SZL)などにより大規模シミュレーションにも対応する点が特徴です。
Tecplotソフトウェアスイート – 製品概要と価値提案
Tecplotは、航空宇宙、自動車、エネルギー、油・ガス、地球科学など、幅広い産業で6万人以上の技術者に利用されている可視化・ポストプロセスツール群です。エキスパートや企業のITチームが、CFD、FEA(構造解析)、リザーバシミュレーション、試験データなどの結果を 「プロットし、理解し、伝える」 ことを支援します。
導入することで、次のようなメリットを得られます。
- 主要ソルバや計測システムからの大規模・複雑データを扱える
- 近代的なエンジニアリングワークフローにシームレスに統合できる
- スクリプトやバッチ処理、Python APIによる自動化が可能
- 意思決定者向けに高品質なグラフ・画像・アニメーションを生成できる
製品イントロダクション
Tecplot 360 – CFDおよび数値シミュレーション可視化
Tecplot 360 は、CFDおよび数値シミュレーションデータ向けの主力可視化・解析ツールです。大規模データの扱い、ワークフローの自動化、パラメトリック結果の可視化などを1つの環境で実現し、XY・2D・3Dプロットを統合した解析ができます。
主な特徴:
- 統合プロット環境:XY・2D・3D可視化を単一のマルチフレームワークスペースで実現
- 大規模データ対応:数十億セル規模のモデルをメモリ効率よく探索できる設計
- パラメトリック解析:設計バリエーションや運転条件の変化を複数シミュレーションで比較可視化
- 自動化:マクロ、スクリプト、PyTecplotによるPython連携
- 高品質グラフィックス:出版・顧客向け資料にそのまま使える図表・アニメーション
Tecplot 360には、必要な部分だけを読み込む サブゾーン・ロード・オン・デマンド(SZL) 技術が搭載されており、メモリ効率を高めつつ大規模CFDやパラメトリックスタディを扱いやすくします。
Tecplot Focus – 計測・試験データのプロット
Tecplot Focus は、計測フィールドデータ、試験データの性能プロット、数式解析、一般的なエンジニアリングプロットに特化したソフトウェアです。
特に次のような用途に適しています。
- 試験ベンチ、風洞試験、各種計測キャンペーン、制御ログの解析
- XYプロットや極座標プロット、性能包絡線、時系列解析の作成
- Tecplot 360ほどのCFD専用機能は不要だが、高度なプロットが必要なケース
主なポイント:
- 豊富なプロットタイプ:XY、極座標、2D、3Dプロットとアニメーション
- 高度な解析機能:性能包絡線、不規則格子データ、離散フーリエ変換(DFT)、時間基準のプローブなど
- マルチフレームワークスペース:複数の2D/3Dプロットや視点を同時表示
- 自動化:レイアウトファイル、スタイルファイル、マクロ、バッチ処理、アドオン拡張
- クロスプラットフォーム:Windows、Linux、macOSに対応
一般的なグラフ作成ソフトや表計算ソフトと比べると、Tecplot Focusは1プロットあたり数千項目レベルの属性制御ができ、複数フォーマットのデータをまとめて扱える統合環境を提供します。
Tecplot RS – 油・ガス向けリザーバシミュレーション可視化
Tecplot RS は、油・ガス分野のリザーバシミュレーションに特化したXY・2D・3D可視化・解析ツールです。
リザーバエンジニアを支援する主なポイント:
- 複数の業界標準シミュレータからのシミュレーション結果を一元的に読み込み管理
- 履歴マッチの妥当性やシミュレーション結果を素早く検証
- 統計・グラフィカルツールによるリザーバ挙動解析
- 管理層向けに分かりやすいプロフェッショナルな画像・アニメーションを作成
Tecplot RSは、ECLIPSEやNEXUS、CMG系など、代表的なリザーバシミュレータのデータ形式に対応し、異なるツール間の可視化を標準化できる点が大きなメリットです。
主な利点:
- ワークフローの効率化:スタンププロット、履歴マッチ気泡プロット、回収率マップなどの「スマートビュー」により、少ない操作で意思決定に到達できる設計
- 強力な解析機能:原油量積分、開発シナリオ比較、リザーバ不均質性の理解などを支援
- エンタープライズ対応:64ビットWindowsおよびLinux対応で、一般的な企業環境に導入しやすい
FieldView – ハイエンドCFDポストプロセッシング
FieldView は、集中的なCFDワークフローと短い設計サイクルを持つ組織を対象としたハイエンドCFDポストプロセッサです。
主な機能:
Understand(理解)
- 現実的な速度のインタラクティブアニメーション
- Q-criterionやλ₂といった特徴量による高度な流れ構造の抽出
- ケース間の差分計算やサンプリング機能による定量比較
Communicate(伝達)
- 背景・環境・マテリアル設定を含むリアルな画像・アニメーション
- 社内外のレビューで信頼感を高める高インパクトなビジュアル
Automate(自動化)
- PythonやFieldView独自スクリプト(FVX)によるCFDポストプロセスのフルバッチ自動化
- 多数のケースを標準化されたワークフローで処理
- 手作業では扱いきれないケース数へのスケーラブルな対応
特に次のようなチームに適しています。
- 航空機やターボ機械、自動車など、大量の本番CFDケースを日常的に実行する組織
- 非定常流れや複雑な乱流構造など、高度な可視化が必要なケース
- グローバル拠点間でポストプロセスを標準化したい企業
PyTecplot – Tecplot 360向けPython自動化
PyTecplot は、PythonスクリプトからTecplot 360の可視化エンジンを制御するためのAPIです。
PyTecplotによりエンジニアは次のことが可能になります。
- 1つのスクリプト言語(Python)で、複数ツールを横断するエンジニアリングワークフローを自動化
- CFDデータに対して詳細なカスタム計算や指標抽出を実行
- シミュレーション結果から値・グラフ・アニメーションを自動生成
- Tecplot 360が扱えるあらゆるデータフォーマットをスクリプトから直接読み込み
- NumPy、SciPy、Jupyterなど、Pythonベースのエコシステムと連携
主な特徴:
- バッチモード/接続モード:完全自動のバッチレポート生成にも、GUI操作と連動した半自動ワークフローにも対応
- 操作記録:GUI操作をPythonスクリプトとして記録でき、手作業をそのまま再利用可能なスクリプトに変換
- Tecplot 360とのバンドル:TecPLUSメンテナンス契約付きのTecplot 360ユーザーはPyTecplotを利用可能
Tecplot Chorus – 複数シミュレーションと設計空間解析
Tecplot Chorus は、多数のシミュレーションケースや試験ケースを横断的に解析するための設計空間・データ解析ツールで、TecPLUSメンテナンス付きTecplot 360ユーザー向けに提供されています。
主な役割:
- シミュレーションメタデータと結果の整理・管理
- 多数のケースをインタラクティブに探索
- 性能指標の傾向・異常値・外れ値の特定
- 出力のばらつきを、基礎となる物理や設計変数に結び付けて理解
代表的な用途:
- 設計最適化、空力データベースの構築
- 動作範囲全体にわたる性能予測
- 複雑なエンジニアリング課題の原因分析
Chorusが提供する主な機能:
- 数百〜数千ケースに対応するデータ管理フレームワーク
- 散布図や行列表現、簡易モデルなどによる相関解析
- Tecplot 360のポストプロセス機能を活用した一括プロット作成・データ抽出
なぜTecplotが企業のエンジニアリング/IT部門に適しているのか
統合された可視化プラットフォーム
Tecplot製品群は、CFD、一般エンジニアリングデータ、リザーバシミュレーション、設計空間解析をカバーしています。公式な説明でも、Tecplotは「習得しやすく、幅広い機能を提供し、より高品質な画像と出力を生成できる」点を特徴として挙げています。
比較対象としては、例えば次のようなものがあります。
- 特定ソルバ専用のビルトインポストプロセッサ
- 汎用グラフツール・表計算ソフト
- 社内で個別に作られたスクリプト群
これらと比べ、Tecplotは次のような統一基盤を提供します。
- XY・2D・3Dプロットを一つの環境で扱える
- シミュレーションと試験データを並べて比較できる
- すべての技術レポートでレイアウトとブランド表現を統一できる
この「ドメイン横断の一貫性」は、ツールの乱立を避け、統一されたソフトウェアスタックを求めるIT部門にとって大きなメリットです。
スケーラビリティとビッグデータ対応
最新のCFDやリザーバシミュレーションは、非常に大きな格子数や長い時間履歴を扱います。Tecplot 360は、SZL(サブゾーン・ロード・オン・デマンド)技術により、大規模データを効率よく扱えるよう設計されています。
組織にとっての利点:
- 専用可視化クラスターではなく、一般的なエンジニアリング用ワークステーションで十億セル級モデルを扱いやすい
- HPCクラスター上のリモートデータとも効率的に連携可能
- ポストプロセス中のクラッシュや著しい速度低下を抑制
FieldViewも、クライアント/サーバ構成や並列処理オプションにより、大規模CFDケースのポストプロセスを支援します。
自動化・スクリプト・統合
Tecplotエコシステムは自動化を大きな差別化要素としています。
- PyTecplot によるPythonベースの制御、NumPy/SciPy/Jupyterなどとの連携
- Tecplot 360、Focus、RS、FieldViewに共通するマクロやバッチ処理によるレポート自動生成
- Tecplot Chorus による、多数ケースを対象とした一括プロット作成・データ抽出
バラバラなスクリプトや完全手動のワークフローと比べると、TecplotのGUI+マクロ+Pythonの組み合わせにより:
- 自動化プロセスの展開を加速
- テンプレートや共通スクリプトにより保守性を向上
- ドメインエキスパートとIT/DevOpsの役割分担を明確化
エンタープライズ向けライセンスとプラットフォーム
Tecplot製品は、エンジニアリング現場で一般的なデスクトップOSをサポートしています。
- Tecplot 360 / Tecplot Focus:Windows 10/11、Apple Silicon対応のmacOS、主要Linuxディストリビューション(Red Hat、SLED、Ubuntu、Rocky Linuxなど)
- Tecplot RS:64ビット版WindowsおよびLinux(RedHat、SLED、Ubuntu、CentOS、Rockyなど)
- Chorus / PyTecplot:各製品ページに記載のプラットフォーム要件に準拠
ライセンス形態は、シングルユーザーライセンスとネットワークライセンスがあり、アクティベーションコードやライセンスマネージャ(RLM)による管理に対応しています。メンテナンス(TecPLUS)には、アップグレードやサポート、Chorus・PyTecplot・SZL Serverの利用権が含まれます。
IT部門にとっては:
- ライセンスサーバの運用や更新が行いやすい
- 契約更新やコンプライアンス管理がしやすい
- ネットワークライセンスを用いることで、仮想マシン環境の活用もしやすい
導入メリット
より速いエンジニアリング判断
インタラクティブな可視化、自動レポート、多ケース解析により、Tecplot製品は「待ち時間を減らし、発見に使う時間を増やす」ことを目指しています。
典型的な効果:
- 流れ構造や性能トレンド、異常の早期発見
- Tecplot Chorusを用いたCFDやパラメトリックスタディにおける設計案の迅速比較
- Tecplot RSを用いたリザーバモデルや生産予測の迅速な検証
結果として、開発サイクルが短縮され、より多くの設計案を評価でき、Go/No-Go判断の質とスピードが向上します。
品質向上とリスク低減
Tecplotは、シミュレーションおよび試験結果のより綿密な解析を支援します。
- CFD向け診断:スライス、等値面、流線、Q-criterion、λ₂、渦構造解析など
- リザーバ解析:原油量積分、履歴マッチビュー、回収率マップなど
- 設計空間可視化:多数のケースをまたぐトレンド把握や簡易モデル化
微妙な挙動を「見える化」し定量化できることで:
- 開発プロセスの早い段階で問題の芽を発見
- シミュレーション仮定を試験データと照合して検証
- 大きな投資判断前にモデルの信頼度を高める
といったリスク低減につながります。
運用効率とコスト管理
Tecplotの自動化機能は、ポストプロセスにかかる手作業を大幅に削減します。
- PyTecplot、マクロ、FVXなどを用いたバッチ処理により、一晩で図表やアニメーション一式を自動生成
- Focusや360のレイアウト・スタイルファイルにより、最小限の操作で統一フォーマットを適用
- RSやFieldViewにおける標準化されたワークフローが、トレーニング負荷を軽減し再現性を向上
組織ごとの具体的な数値は異なりますが、「ファイル操作や図の作成に費やす時間を減らし、解析や設計に費やす時間を増やす」ための投資として位置付けることができます。
標準化とナレッジ継承
Tecplotを共通プラットフォームとして採用することで、組織全体で:
- ベストプラクティスをテンプレート、マクロ、Pythonスクリプトとして定着
- 個人依存の「属人的なスクリプト」からの脱却
- 新メンバーが解析手順やレポートを再現しやすい環境づくり
が可能になります。Tecplotは各製品に対してマニュアルやインストールガイド、スクリプトガイド、フォーマットガイド、動画チュートリアルなど豊富なドキュメントと教育リソースを提供しているため、社内の標準手順やオンボーディングプログラムにも組み込みやすい点が特徴です。
主なユースケース
航空宇宙・自動車分野のCFD
代表的な適用例:
- 外部空力(自動車、航空機、ドローンなど)
- 吸気・排気系、HVAC、冷却系などの内部流れ
- ターボ機械(ファン、コンプレッサ、タービン)
Tecplot 360とFieldViewは特に次のような用途に適しています。
- 等値面や流線、アニメーションによる複雑3D流れ構造の可視化
- 複数の動作点や設計案の比較
- Tecplot Chorusなどを用いた最適化ループやパラメトリックスタディとの連携
サイト内では、「航空宇宙/自動車CFDワークフローの詳細はこちら」といった内部リンクで、業種別の事例コンテンツへ誘導できます。
エネルギー・プロセス産業
発電、化学プロセス、再生可能エネルギーなどの分野では、Tecplot 360やFocusを利用して:
- 多相流や燃焼流れの可視化
- 熱交換器、燃焼器、流動層などの性能解析
- 試験データとシミュレーションデータを組み合わせた統合レポート作成
などに活用できます。Tecplot 360は多様なCFDコードや計測システムのフォーマットに対応しており、ツール間のサイロ化を避ける助けとなります。
石油・ガスのリザーバエンジニアリング
Tecplot RSは、リザーバエンジニアの次のような課題にフォーカスしています。
- 異なるシミュレータやシナリオからの結果を集約し、一元的に比較
- 開発計画、増進回収(EOR)、インフィルドリリング戦略などの評価
- 簡略化モデルとフルフィールドモデルの比較
- 非技術者にも理解しやすいグラフィックスでリザーバ挙動を説明
研究機関・大学・イノベーションラボ
Tecplotは、CFD、伝熱、流体構造連成などの研究用途でも広く利用されています。
研究機関にとっての利点:
- 新しい数値手法やスキームの結果を素早く探索
- 商用・オープンソースを問わず、多様なソルバフォーマットをサポート
- 学位論文、学会発表、ジャーナル投稿向けの高品質な図表を容易に作成
アカデミック向けのプログラムやドキュメントが整備されているため、異なるシミュレーション環境を持つ大学・共同研究体でも導入しやすい点が特徴です。
企業のデータサイエンス・IT運用
エンジニアリング部門を支えるIT・データサイエンスチームにとっては、Tecplotは次のような価値を提供します。
- PyTecplotによる明確なAPIで、既存のデータパイプラインやBI基盤と連携しやすい
- Linuxサーバやリモートデスクトップ上での運用に対応
- ライセンス管理やドキュメント、サポート体制が整っており、企業IT標準に組み込みやすい
シミュレーション・試験データと、BI、機械学習、デジタルツインといった取り組みを結び付ける「可視化レイヤー」として、Tecplotを位置付けることができます。
導入効果の例(シナリオ)
※以下は導入効果をイメージしやすくするための典型的なシナリオであり、特定の顧客事例ではありません。
シナリオ1 – 航空宇宙CFDチームがTecplot 360とFieldViewに標準化
ある航空宇宙エンジニアリングチームは、ソルバ付属のポストプロセッサと自作スクリプトを組み合わせて使っており、新しい設計案ごとに図表と表を揃えるのに数日かかっていました。
Tecplot 360とFieldViewの導入後:
- 標準的な可視化・評価手順をPyTecplotとFVXスクリプトとして記録
- 夜間バッチジョブで全設計案の必要なプロットを一括生成
- 日中はエンジニアが解析・検討に集中できるように
結果として、設計案の評価サイクルが短縮され、経営層に提供する可視化資料もブランドに沿った統一されたスタイルで提供できるようになります。
シナリオ2 – リザーバエンジニアリングチームがTecplot RSで可視化を統合
あるリザーバ管理チームは、複数のシミュレータを利用しており、それぞれ専用ビューアで確認していました。シナリオ比較には、画像やスプレッドシートを手作業で統合する必要がありました。
Tecplot RS導入後:
- すべてのシミュレータのデータを1つのインターフェースに集約
- RSの機能を用いて、履歴マッチの品質を視覚的かつ統計的に評価
- 管理層向けプレゼンテーション用グラフィックスをRSから直接作成
異なるツールからの結果をまとめる手間が減り、油田開発・リザーバ監視に関する意思決定サイクルが短縮されます。
シナリオ3 – 企業IT部門がPyTecplotで自動レポート基盤を構築
IT/DevOpsチームが、複数部門にまたがるCFDレポートの自動化を任されたケースを考えます。
PyTecplot、Tecplot 360、既存のジョブスケジューラを組み合わせることで:
- シミュレーションジョブ終了時にPyTecplotスクリプトが自動起動
- スクリプトが主要指標を抽出し、プロットを生成して共通ストレージに保存
- BIシステムのダッシュボードから、この自動生成プロットにリンク
これにより、シミュレーション出力と経営指標を結び付けた、再現性・監査性の高いレポートプロセスを構築でき、CFDエンジニアが毎週のレポート作成に割く時間を削減できます。
FAQ
一般的な質問
Q1. Tecplotとは何で、どのようなユーザー向けですか?
Tecplotは、CFD、リザーバシミュレーション、エンジニアリング試験データなどを扱うエンジニアや研究者向けの可視化・解析ツール群です。航空宇宙、自動車、エネルギー、油・ガスなど、さまざまな産業の多数の技術者によって利用されています。
Q2. 主なTecplot製品は何ですか?
- Tecplot 360 – CFDおよび数値シミュレーション向けポストプロセススイート
- Tecplot Focus – 計測・試験データのプロット
- Tecplot RS – リザーバシミュレーション可視化
- FieldView – ハイエンドCFDポストプロセッサ
- PyTecplot – Tecplot 360用Python API
- Tecplot Chorus – 複数シミュレーションと設計空間解析ツール
製品選定に関する質問
Q3. Tecplot 360とTecplot Focusはどのように選べばよいですか?
- 主なワークロードがCFDやマルチフィジックス解析で、3Dポストプロセスや大規模データ処理、PyTecplotやChorusとの連携が重要な場合は Tecplot 360
- 主に試験・計測データの柔軟なXY/2D/3Dプロットが必要で、CFD固有機能はそれほど必要ない場合は Tecplot Focus
という一般的な使い分けが目安になります。
Q4. Tecplot RSはTecplot 360とどう違いますか?
Tecplot RSは、リザーバシミュレーションのワークフローに特化しており、専用のシミュレータフォーマットや履歴マッチプロット、回収率マップ、原油量積分などの機能を備えています。一方Tecplot 360は、CFDや一般的な数値シミュレーションを中心とした解析・可視化に最適化されています。
Q5. すでにTecplot 360を持っている場合、FieldViewは不要でしょうか?
FieldViewとTecplot 360は、どちらもCFDポストプロセッサですが、位置付けは少し異なります。
- Tecplot 360:幅広いCFD/シミュレーション用途をカバーし、PyTecplotやChorusとの連携に強み
- FieldView:大量のCFDケースを高効率に処理する「生産CFD」向けで、現実的なビジュアル表現やバッチ自動化機能が充実
組織によってはどちらか一方を採用する場合もありますし、チームやワークフローごとに使い分けるケースもあります。
プラットフォーム・ライセンス・IT関連
Q6. 対応プラットフォームは何ですか?
- Tecplot 360 / Focus:Windows 10/11、最新のmacOS(Apple Silicon対応)、主要Linuxディストリビューション
- Tecplot RS:64ビット版Windowsおよび主要Linuxディストリビューション
- FieldView:Windows、macOS、複数のLinuxディストリビューション
詳細は、それぞれの製品のシステム要件に従ってください。
自動化と統合
Q7. PyTecplotを導入した場合、既存のTecplotマクロは使えなくなりますか?
いいえ。Tecplotのマクロ機能は継続してサポートされており、PyTecplotからマクロコマンドを呼び出すこともできます。既存のマクロ資産を活かしつつ、Pythonの表現力とエコシステムを組み合わせることが可能です。
Q8. PyTecplotはどのPythonバージョンに対応していますか?
PyTecplotは、現行および近年のPython 3系に対応しており、Windows、Linux、macOS(対応Pythonビルド)で動作します。具体的な対応バージョンは、PyTecplotのリリースノートを参照してください。
Q9. Tecplotは他のツールとどのように連携できますか?
- PyTecplotによるPythonスクリプト連携で、ソルバ、スケジューラ、データパイプラインなどとの統合
- Tecplot 360による多様なCFD/FEA/データフォーマットへの対応
- FieldViewやRSにおけるバッチ処理機能による再現性の高いワークフロー構築
これらにより、社内の解析基盤やレポーティング基盤へ柔軟に組み込むことができます。
競合との差別化
Q10. Tecplotは競合製品と比べてどこが違いますか?
Tecplotは次のようなポイントを重視しています。
- 習得しやすく直感的な操作感
- XY・2D・3D、CFD、リザーバ、試験データなどを横断した広い適用範囲
- 社内外のコミュニケーションに耐える高品質な可視化結果
一般的な評価として、Tecplot 360は他のハイエンドCFDポストプロセッサと比較しても大規模データとアニメーションの処理に十分対応しつつ、統合されたユーザーフレンドリーな環境を維持しているとされています。
複数のソルバ専用ツールや個別スクリプトを組み合わせるのではなく、「1つの柔軟な可視化プラットフォーム」に集約したい組織にとって、Tecplotは有力な選択肢となります。
メーカーの製品サイト
https://tecplot.com/
【言語】英語


