Eigenvector Research ソフトウェア
目次
1. 製品概要
Eigenvector Research, Inc. (EVRI) は ケモメトリクスソフトウェア と 多変量データ解析 (MVDA) の分野をリードする企業です。同社のソフトウェアスイート―PLS_Toolbox, Solo, MIA_Toolbox, Solo_Predictor, Model_Exporter, Diviner など―は、科学・工学・IT チームが複雑なデータセットから実用的な知見を抽出するための強力な手段を提供します。
1.1 主要価値提案
- 包括的機能: 300 以上の手法を備えた世界最大規模のケモメトリクス/機械学習ライブラリ。
- 使いやすさと柔軟性: GUI によるポイント&クリック操作とスクリプト自動化の両方をサポート。
- ドメイン固有の最適化: スペクトル前処理、校正転送、多変量画像解析など、化学・プロセスデータに特化した機能を搭載。
- 開発から運用へのシームレスな移行: モデルを作成 (PLS_Toolbox/Solo) → エクスポートまたはリアルタイム配信 (Model_Exporter/Solo_Predictor) → 現場へ容易に展開。
- エンタープライズスケーラビリティ: フローティングライセンス、サイトライセンス、OEM 提供により組織全体でコスト効率的に利用可能。
2. Eigenvector ソフトウェアスイートの紹介
2.1 PLS_Toolbox
MATLAB® 上で動作する ケモメトリクス/機械学習用マルチバリエイト解析ツールの決定版。標準 MATLAB だけで利用でき、Windows・macOS・Linux で同一機能を提供します。GUI とスクリプトの両方から 300 以上の手法を呼び出せ、以下を含みます。
- 探索解析: PCA, MPCA, UMAP, t-SNE, SOM など
- 回帰: PLS, PCR, CLS, SVR, XGBoost, ANN ほか
- 分類: SIMCA, k-NN, PLS-DA, SVM-DA, 深層学習 ANN など
- 多次元/変数選択: PARAFAC, N-PLS, VIP, Selectivity Ratio 等
2.2 MIA_Toolbox
PLS_Toolbox へのアドオンとして ハイパースペクトル画像解析 を実現。PCA・PLS-DA・MCR・クラスタリングに加え、EWFA、MAF、テクスチャ解析など画像特有の手法をサポート。MATLAB と PLS_Toolbox が必須です。
2.3 Solo
PLS_Toolbox を MATLAB なしで実行できる スタンドアロン版。ドラッグ&ドロップ型 UI、Analysis ウィンドウ、豊富なモデリング機能を備え、Windows・macOS・Linux に対応。
2.4 Solo+MIA
Solo に MIA_Toolbox 機能を統合したバンドル。MATLAB 不要でハイパースペクトル画像解析が可能です。
2.5 Solo_Predictor
スタンドアロンの高性能 予測サーバー。PLS_Toolbox/Solo のモデル(回帰・分類・探索)を読み込み、ファイル監視・コマンドライン・TCP/HTTP でデータを受信し、リアルタイムで推論結果を返します。MATLAB, Python, C# 用 SDK と Web ダッシュボードを同梱。
2.6 Model_Exporter
キャリブレーション済みモデルを 自己完結型の予測スクリプト (XML + サンプルコード) に変換。Java/C#/Python など任意の環境にロイヤリティフリーで統合可能。
2.7 Diviner
PLS_Toolbox/Solo 9.5 以降 に標準搭載の 半自動 ML アシスタント。自動外れ値検出後、前処理グリッド・PLS/正則化 MLR パラメータ・変数選択を体系的に探索し、最良モデルを提示。ユーザーが適宜判断を下す “人間参加型 AutoML”。
2.8 DataSet Object (DSO)
MATLAB 内でデータとメタデータを一元管理するユーティリティ。軸情報やラベルを保持したまま処理可能。PLS_Toolbox 関数は DSO をネイティブにサポートします。
2.9 Floating License Server
フローティングライセンスにより複数ユーザーが同時にライセンスを共有可能。使用頻度の低いユーザーを含む大規模チームでコスト最適化を実現します。
3. 導入効果
3.1 複雑データからの洞察獲得
多変量解析により単変量では見えないパターンを抽出し、根本原因分析を迅速化。
3.2 モデル開発サイクル短縮
Diviner と GUI 主導のプロセスにより、前処理やハイパーパラメータ探索を自動化。
3.3 データ品質と前処理の強化
300 以上の前処理手法を組み合わせ、ノイズ除去・装置差補正・ベースライン補正を柔軟に実施。
3.4 開発から運用への滑らかな橋渡し
Model_Exporter や Solo_Predictor により、モデルを再実装せずに工場や装置へ展開。
3.5 クロスプラットフォームと IT フレンドリー
Windows, macOS, Linux すべてで同一機能を保証。データ形式も CSV, Excel, MAT, JCAMP ほか幅広く対応。
3.6 専門サポートと継続的アップデート
24 時間以内の e-mail サポート、ドキュメント Wiki、Eigenvector University など学習リソースが充実。
4. ユースケースと適用事例
4.1 リアルタイム品質監視 (PAT)
製造ラインの分光計から取得したスペクトルを Solo_Predictor で即時推論。工程逸脱を早期検知し、歩留まり向上とコスト削減を実現。
4.2 研究開発の加速
化学配合実験データに PLS_Toolbox で PCA と PLS 回帰を適用し、性能を左右する主要因を数週間で特定。
4.3 画像解析による検品自動化
Solo+MIA でハイパースペクトル画像を解析し、食品コンベヤ上で異物や不良品を自動検出。
4.4 企業全体へのモデル展開
Model_Exporter でエクスポートした予測式を各製薬工場の装置に実装し、世界規模で統一品質を維持。
4.5 Diviner による高速キャリブレーション
石油化学ラボが Diviner を活用して数十の PLS モデルを短期間で開発、Solo_Predictor へ導入。
4.6 教育・アカデミアでの活用
大学の分析化学コースが PLS_Toolbox を用いて学生に PCA/PLS を体験させ、研究室では代謝物解析や環境化学に応用。
5. 競合ソリューションとの差別化
- 幅広い手法のワンパッケージ化: PLS_Toolbox は 300 以上の手法を単一ライセンスで提供し、追加モジュール不要。
- 透明性: PLS_Toolbox は MATLAB ソースコードを同梱し、アルゴリズムを検証・拡張可能。
- クロスプラットフォーム: Windows 専用の競合製品に対し、EVRI は macOS/Linux にも完全対応。
- モデル運用の容易さ: Solo_Predictor と Model_Exporter により追加ランタイム費用なしで運用可能。
- 専門コミュニティと教育: Eigenvector University やフォーラムで実務的ノウハウを共有。
- コストパフォーマンス: 公開価格で透明性が高く、モジュール選択制により必要機能だけを購入可能。
6. よくある質問 (FAQ)
- Q1. MATLAB は必須ですか?
- PLS_Toolbox と MIA_Toolbox には MATLAB が必要ですが、Solo/Solo+MIA は MATLAB 不要です。
- Q2. 解析できるデータの種類は?
- 数値テーブル形式ならほぼ何でも扱えます。特にスペクトル、クロマトグラム、プロセス時系列、ハイパースペクトル画像などに強みがあります。
- Q3. PAT への対応は?
- Solo_Predictor でリアルタイム推論、校正転送機能で装置差補正が可能なため、PAT に最適です。
- Q4. オープンソースライブラリと比べた利点は?
- GUI でコード不要、ケモ메トリクス特化機能が豊富、検証済みアルゴリズム、専用サポートが挙げられます。
- Q5. フローティングライセンスはありますか?
- はい。Floating License Server により同時使用シートをチームで共有できます。
- Q6. サポートとトレーニングは?
- ヘルプデスクは 24 時間以内対応。Wiki、ウェビナー、Eigenvector University など多数あります。
- Q7. 無料体験版はありますか?
- 45 日間フル機能の評価版を提供しています。
- Q8. 他社製品との比較は?
- 機能の幅、透明性、クロスプラットフォーム対応、運用ツールの充実度、価格競争力で優位です。
- Q9. システム統合は容易ですか?
- MATLAB スクリプト、コマンドライン、TCP/HTTP インタフェース、Model_Exporter スクリプトで各種 LIMS/ERP/装置と連携可能です。
- Q10. データサイズの制限は?
- メモリに収まる限り制限なし。ハイパースペクトル画像や数万サンプルも実績があります。
- Q11. 可視化とレポート機能は?
- Scores/Loadings プロット、3D インタラクティブ表示、表形式エクスポート等が標準搭載です。
- Q12. 化学以外にも使えますか?
- はい。製造、電子、金融など多変量データを扱う業界なら応用可能です。
- Q13. 対応データ形式・装置フォーマットは?
- CSV, Excel, MAT, JCAMP-DX, SPC, TIFF, ENVI ほか多数あります。
7. まとめ
Eigenvector Research のソフトウェアスイートは、多変量データ解析とケモメトリクスのワンストップソリューションです。使いやすい GUI と 300 以上の高度なアルゴリズムを兼ね備え、科学者・エンジニア・意思決定者がデータから価値を引き出すのを支援します。クロスプラットフォーム、柔軟なライセンス、透明性の高いソースコード、強力な運用ツール(Solo_Predictor・Model_Exporter)により、研究段階から本番環境までスムーズに移行できます。Eigenvector のツールを採用することで、組織はデータ駆動型の意思決定を加速し、品質向上とコスト削減を実現できます。
メーカーの製品サイト
https://eigenvector.com/
【言語】英語