NXLog Platform と NXLog Agent は、ベンダーに依存しないクロスプラットフォームのテレメトリ・パイプラインを提供し、セキュリティ/IT/クラウドのデータを大規模に収集・処理・転送します。Windows Event Log、Linux/systemd、アプリケーションログ、ネットワークテレメトリ、OpenTelemetry(トレース/ログ/メトリクス)を含むログや各種テレメトリを一元化し、統一フォーマットへ正規化したうえで、強固な転送セキュリティとボリューム制御で、あらゆる SIEM や分析基盤へ確実に届けます。
NXLog を選ぶ理由
- 主要 OS/アーキテクチャを 1 つのエージェントでカバー。エージェント方式/エージェントレス/オフライン処理に対応
- 「収集 → 処理 → ルーティング」のベンダー非依存パイプライン。豊富なパース/変換(JSON、CEF、GELF、CSV、XML、キー・バリュー など)
- エンタープライズ級の信頼性(TLS/mTLS、バッファリング、フロー制御、ディスク支援キュー)とエアギャップ展開のサポート
- 任意の SIEM/ログ分析/オブザーバビリティ基盤/データレイクと連携。同一ストリームを並列で複数宛先へ配信
- エッジでのきめ細かなフィルタリングと正規化でノイズを削減し、重要イベントを落とさず取り込み量を抑制
製品紹介
NXLog Platform(ソフトウェア プラットフォーム)
NXLog Platform は、特定ベンダーの分析基盤に縛られることなく、ログや各種テレメトリを大規模に収集・処理・ルーティングするエンタープライズ級のテレメトリ・パイプラインおよび任意で有効化できるオンプレミスの保管レイヤーです。エアギャップ環境を含み、エージェント方式とエージェントレス方式の双方に対応します。
主な機能(ソフトウェア):
- NXLog Agent のフリートを大規模に管理・設定(Windows、Linux、macOS、BSD、AIX、Solaris)
- 宛先(SIEM 等)やログソース単位で、ルーティング規則、パース/変換テンプレート、ソリューションパックを集中管理
- 必要に応じてオンプレミスでデータを保管(コンプライアンス/調査/段階的な保持に対応)
- エージェントのヘルスやテレメトリフローの運用ビューを提供
ライセンス注記: プラットフォームのプランは「データソース単位」(1 日あたり GB ではなくソース数基準)で、ハイボリューム環境でも予測可能なコスト管理を実現します。
NXLog Agent(クロスプラットフォーム エンドポイント/リレー)
NXLog Agent は、エンドポイント、サーバー、コレクションリレーにインストールする軽量ソフトウェアです。入力(例:Windows Event Log API、ETW、ファイル、ソケット、パフォーマンスカウンタ)を読み取り、プロセッサや拡張(JSON/CEF/GELF/CSV/XML/grok、フィールド書き換え、エンリッチ、許可/拒否リスト)で処理・正規化し、出力(TCP/UDP/TLS、HTTP(S)、NXLog Transport、ファイル、syslog、OpenTelemetry、Prometheus メトリクス)へ転送します。
ハイライト(ソフトウェア):
- ネイティブな Windows Event Log 収集(ローカル、リモートサブスクリプション、WEF/WEC)および ETW
- Linux と macOS のシステムログ(journald/systemd、ファイル)、BSD 系、IBM AIX、Oracle Solaris
- メモリ/ディスクキューによるバッファリングとバックプレッシャー対応の配信
- 複数宛先への並列ルーティング(SIEM、データレイク、オブザーバビリティ基盤)
- 強固な転送セキュリティ(TLS/mTLS)、証明書ベース認証、詳細な許可/拒否リスト
- 複数行レコードやアプリ固有パーサ(IIS W3C、Sysmon、Zeek 等)への対応
アーキテクチャとコンポーネント
論理データフロー
- 入力: Windows Event Log API、ETW、ファイル(ローテート/再帰)、ソケット(UDP/TCP/TLS)、ネイティブ WEC/WEF 受付、Linux journald、パフォーマンスカウンタ、外部実行ファイルによるカスタムソース
- プロセッサと拡張: フィールド抽出(JSON、CSV、XML、キー・バリュー)、フォーマット変換(CEF、GELF)、書き換え、エンリッチ、タイムゾーン/ホスト名の正規化、許可/拒否リスト、スコープ化フィルタ
- 出力: syslog 宛先、SIEM(Splunk/HEC、QRadar/LEEF/CEF、Graylog/GELF、Elastic/Logstash、Chronicle、Sentinel)への並列ルーティング、オブザーバビリティ基盤(OpenTelemetry Collector、Prometheus メトリクス)、ファイルやデータレイク
- 信頼性制御: バッチサイズ/フラッシュ間隔、モジュール単位のキュー、ディスク支援バッファ、バックプレッシャー/フロー制御、再起動後の「実用上の厳密 1 回」復旧を支える読み取り位置の永続化
収集モード
- エージェント方式: エンドポイントに NXLog Agent を導入し、収集・変換・転送
- エージェントレス: リレー/コレクタを使用。NXLog は Windows または Linux 上で WEC として動作可能。ネットワーク越しに syslog やアプリケーションストリームを集約
- オフライン/バッチ: 過去アーカイブ(.evtx、CSV、JSON、カスタム)を処理(移行・調査用途)
セキュリティ/信頼性/性能
- 安全な転送: TLS、相互 TLS、証明書ピンニング、詳細なホスト許可/ブロックリスト
- 確実な配送: メモリ+ディスクバッファ、調整可能なキューサイズ、再起動後の再開を可能にするキャッシュファイル、明示的なドロップ方針
- スケーラビリティ: 入出力のマルチスレッド化、バッチ処理、宛先ごとのファンアウト。CPU/I/O のチューニングオプション
導入メリット
異種環境の標準化
- Windows、Linux、macOS、AIX、Solaris、ネットワーク機器を 1 つのエージェントと 1 つのポリシーモデルで統一
- 各下流プラットフォーム要件に合わせて JSON/CEF/GELF/syslog へ正規化
- 転送前にホスト名やタイムゾーン、追加コンテキストでエンリッチ
信号を失わずにボリューム削減
- XPath やルールベースのフィルタで重複や低価値イベントをエッジで抑制
- 使わないフィールドを削ってペイロードを縮小しつつ、調査価値は維持
- 高優先度イベントはホット分析ストレージへ、その他はコスト効率の高いアーカイブへ
セキュリティ体制の強化
- エンドポイント/リレー/バックエンド間をエンドツーエンドで暗号化(TLS/mTLS)
- エージェント禁止の環境では WEF/WEC によるエージェントレス収集。Linux ベースの WEC でサーバー側集約
- 完全オンプレミス経路でのエアギャップ展開に対応
ベンダーロックイン回避
- 同一のエンリッチ済みストリームを複数の SIEM/オブザーバビリティ基盤へ同時配信
- エンドポイントの再インスツルメンテーションなしにバックエンドの追加・切替が可能
運用効率
- 中央テンプレートとソリューションパックでホスト毎のコンフィグ漂いを抑制
- クロスプラットフォームな単一ソフトウェアでトレーニングとサポート負荷を削減
ユースケース
1) Windows 基盤のハードニングと AD 可視化
課題: Security/System/Application/Sysmon などの Windows Event Log を高忠実・低ノイズで確実に収集したい。
実装概要:
- ドメインコントローラとメンバーサーバーに NXLog Agent を導入
- 高価値イベント ID やチャネルに対して XPath フィルタを適用。Sysmon Operational ログを収集
- 下流 SIEM 要件に応じて JSON もしくは CEF へ変換
- TLS/mTLS で SIEM へ転送(フォレンジック用に第 2 宛先へも並行転送)
効果(例): エッジで低価値ノイズを削減。正規化により SIEM でのトリアージ高速化。DC と中央コレクタ間の安全かつ監査可能な転送。
2) エアギャップ OT/ICS と拠点集約
課題: プラントや支店内から外部へ送信不可。Windows/Linux 混在、PLC や HMI がローカル syslog/Windows チャネルに出力。
実装概要:
- ローカルサーバーに NXLog Agent を展開。エージェント不可のクライアントには Linux ベースの WEC を用意
- セグメント間のリンク断に耐えるディスク支援バッファを活用
- オンプレミス SIEM とオフライン保持ストアへ転送
効果(例): インターネット非依存でも堅牢・暗号化された収集を実現。IT/OT を横断した一貫ポリシー管理。
3) マルチ SIEM/MDR への並行ルーティング
課題: 本社で Splunk を運用しつつ、別のプラットフォームを使う MDR にも同一のエンリッチ済みイベントを届けたい。
実装概要:
- エッジで JSON/CEF へ正規化
- 両バックエンド(例:Splunk HEC と QRadar syslog/LEEF)へ並列出力
- 「ホット」イベントはリアルタイム宛先へ、「ウォーム」イベントは調査用ストアへ振り分け
効果(例): プロバイダー追加時も再インスツルメンテーション不要。将来に強い SIEM 戦略。
4) 大規模オブザーバビリティのコスト統治
課題: 取り込み課金モデルで高ボリューム環境が不利。コストを抑えつつ本質的なコンテキストを保持したい。
実装概要:
- 未使用フィールドの削減、DEBUG/TRACE クラスの事前ドロップ
- 可能な箇所でバッチ化・圧縮。ディスクバッファを活用して転送時間帯を調整
- 冗長なアプリログはオブジェクトストレージに退避し、要約のみを SIEM へ
効果(例): 可視性を損なわずに分析コスト低減。段階的ルーティングでフォレンジック完全性を確保。
5) DevSecOps のための OpenTelemetry ブリッジ
課題: OTel 採用チームが、アプリのトレース/ログ/メトリクスと従来のセキュリティログを統合したい。
実装概要:
- サービスから OTel のログ/トレースを取り込み
- SOC スキーマに合わせて再整形・エンリッチ。SIEM とオブザーバビリティ基盤へ同時ファンアウト
- 必要に応じて Prometheus 互換メトリクスを公開
効果(例): SecOps と SRE が共通のテレメトリ基盤を共有し、重複エージェントを削減。
代替製品との違い
一般的なログ収集・転送ソフトウェアと比べた際の観点(一般論):
- ベンダー非依存の設計: 任意の SIEM/データ基盤へ同一ストリームを並列配信する前提のポリシー運用。
- Windows ネイティブ対応の厚み: WEF/WEC、ETW、XPath などの機能を含む収集と正規化の選択肢。
- エッジでの正規化とコスト統治: JSON/CEF/GELF などへの変換、フィールドトリム、イベント選別で取り込み量を制御。
- 複数宛先ファンアウト: 宛先ごとにバッファ/復旧動作を分離し、障害ドメインを切り分け。
- エアギャップ/オンプレ運用: オフライン/断続回線を前提としたバッファリングと再送制御。
アーキテクチャとコンポーネント
入力(抜粋)
- Windows Event Log(im_msvistalog): チャネル/XPath でクエリ。ローカル/リモート
- Windows Event Forwarding/Collector(im_wseventing): WEC として動作し WEF ストリームを受信
- Event Tracing for Windows(im_etw): カーネル/ユーザーモードのトレースプロバイダ、Debug/Analytic チャネル
- ファイルとディレクトリ(im_file): ローテートファイル、再帰パス。履歴 EVTX/CSV/JSON/XML の読み取り
- ソケット(im_udp、im_tcp、im_ssl): UDP/TCP/TLS 取り込み。許可/ブロックリスト
- systemd/journald(im_systemd): Linux ネイティブログ
- パフォーマンスカウンタ(im_winperfcount): Windows パフォーマンスカウンタのテレメトリ
- 内部テレメトリ(im_internal、im_internalmetrics): エージェント健全性とカウンタ
- OpenTelemetry(im_otel): HTTP(S)/gRPC で OTel のログ/トレースを取り込み
拡張とプロセッサ(抜粋)
- xm_json / xm_xml / xm_csv / xm_kvp: 構造化フォーマットのパース/生成。入れ子 JSON のフラット化
- xm_cef / xm_gelf / xm_w3c / xm_grok: 代表的な SIEM/アプリ形式の生成/パース
- xm_syslog: IETF/BSD syslog ヘッダ処理と変換
- pm_buffer: メモリ/ディスクバッファ。ディスク分割、警告/制限しきい値
- pm_blocker: 転送時間帯のスケジュール制御
- フィールド書き換え/トリム: 許可/拒否リストと正規化
出力(抜粋)
- om_tcp / om_udp / om_ssl: TCP/UDP/TLS によるネットワーク転送(mTLS 対応)
- NXLog Transport: エージェント間/Platform 向けの圧縮・効率的転送
- OpenTelemetry(om_otel): OTel コレクタへログ/トレースを転送
- Prometheus(om_prometheus): スクレイプ用カウンタ/ゲージを公開
- ファイル(om_file)、Unix ドメインソケット(om_uds): ローカル保管やプロセス間ハンドオフ
ルーティングモデル
- 宣言的な route で input → processor → output を接続
- 同一ストリームを複数出力へファンアウト。ルート分離とルート毎のバッファで障害ドメインを分割
- BatchSize と BatchFlushInterval を全体またはモジュール単位で調整し、スループット/レイテンシのバランスを最適化
セキュリティと信頼性
転送セキュリティ
- TLS を全面採用し証明書検証を必須化。クライアント証明書による相互認証
- ネットワーク入力での許可/拒否リスト、TCP keepalive、再接続バックオフ
耐障害配送とバックプレッシャー制御
- ルート上のメモリ/ディスクバッファ。バッファ種別/最大容量/警告しきい値を調整
- ファイル入力や Windows Event Log 入力の読み取り位置を永続化して再起動後の重複/欠落を防止
- 下流キューが枯渇した際は上流モジュールを一時停止。宛先ごとのルート設計で、ある宛先の不調が他へ波及するのを防止
高スループット チューニング
- 入力スレッド数の増加、ReusePort による並列受付
- バッチ化でスループットを向上。下流制約に合わせてフラッシュ間隔を調整
- マルチ宛先ルーティングでコレクタ間の負荷分散、または低遅延系とバルク系を分離
FAQ
Q1. 同じイベントを複数の SIEM へ送れますか?
はい。並列出力や別ルートを定義します。多くの組織が、プライマリ SIEM と分析/フォレンジック用途のストアへ並行転送しています。
Q2. すべての Windows エンドポイントにエージェントが必要ですか?
必須ではありません。エージェント不可の環境では、NXLog Agent を Windows Event Collector(WEC)として構成し、Windows Event Forwarding(WEF)を受信できます。深いホスト可視化とローカルフィルタリングにはエージェントを推奨します。
Q3. 取り込みコストを下げるには?
許可/拒否リストでフィールドを削減し、チャネルや XPath で低価値イベントをフィルタし、冗長ログは低コストストレージへ、要約のみを SIEM へ送ります。必要に応じてバッチ化や圧縮も活用します。
Q4. 転送のセキュリティは?
TLS と任意の相互認証に対応します。CA 信頼、サーバー/クライアント証明書、鍵保護を構成し、リスナーでは許可リストを使い、証明書は計画的にローテーションしてください。
Q5. エアギャップ環境でも動作しますか?
はい。Platform と Agent は完全オンプレで動作します。Windows は WEC/WEF、Linux は syslog/journald を使い、セグメント内で完結する経路を構成できます。境界を跨ぐ場合はバッファリングしたリレーで引き継げます。
Q6. 対応 OS は?
Windows、Linux、macOS、BSD、IBM AIX、Oracle Solaris。アーキテクチャは OS に応じて x86/x64、ARM、PowerPC をサポートします。
Q7. OpenTelemetry をサポートしますか?
はい。HTTP(S)/gRPC で OTel のログ/トレースを取り込み、OTel コレクタ/バックエンドへエクスポートできます。必要に応じて Prometheus 互換メトリクスも公開します。
Q8. どのように中央管理しますか?
NXLog Platform のテンプレートとソリューションパックを用い、役割でグルーピングして適用します。Windows フリートの初期展開には GPO が一般的です。
Q9. Linux で rsyslog/syslog-ng の代替になりますか?
はい。journald やソケットから読み取り、同等の syslog 機能に加えて、リッチな変換や複数宛先への並行ルーティングを提供します。
メーカーの製品サイト
【言語】英語