目次
はじめに
ペネトレーションテストの現場では、「ファインディングの整理」「レポート作成」「ファイル配布」に多くの時間が取られがちです。
PenTest.WS v2.5 では、これらの作業を効率化し、よりプロフェッショナルな成果物を短時間で作成できるようにするための新機能が追加されました。
本記事では、v2.5 で追加された 3 つの機能と、その活用ポイントをコンパクトにご紹介します。
PenTest.WS v2.5 の概要
PenTest.WS は、情報収集からレポート作成まで、ペネトレーションテストの一連の流れを一つのワークスペースで管理するためのプラットフォームです。
v2.5 では、既存のファインディング管理・レポーティング機能をさらに強化し、「構造化されたファインディング」「再利用可能なレポート文章」「安全なファイル共有」を軸に、実務負荷を下げるアップデートが行われています。
3つの主要アップデート
1:Findings Groups(ファインディングの整理)
- 従来のフラットな一覧に加え、ファインディングを任意のグループ(例:External / Internal / Social Engineering)に分類可能。
- グループ単位で整理することで、大規模な案件でも全体像と優先度が把握しやすくなります。
- 設定したグループ構成はレポートにも引き継がれ、報告書の章立てとオンライン作業画面の構成を揃えることができます。
- グルーピングは任意で、まずは従来どおりフラットなリストで始め、必要に応じてグループ化するといった柔軟な運用が可能です。
2:Reporting Briefs(レポート文章の再利用)
- エグゼクティブサマリーやスコープ説明、手法の説明など、毎回似た内容を書くセクションを「Brief」としてライブラリ化できます。
- 過去の Word ファイルからコピー&ペーストするのではなく、PenTest.WS 内に標準文章を一元管理し、案件ごとに微調整するだけで済みます。
- 組織内で共通の Brief を使うことで、レポートのトーンや構成をチーム全体で統一しやすくなります。
- 日本語のテンプレートを登録しておけば、日本国内向けレポートの品質と作成スピードを同時に向上させることが可能です。
3:File Shares(オンプレ専用ファイル共有)
- オンプレミス版専用の新機能で、ペイロードやツール、証跡ファイルを PenTest.WS 内で安全に管理・共有できます。
- ファイルは自社サーバー上に保存されるため、クラウドストレージを使えない環境や機密度の高い案件でも運用しやすい設計です。
- バージョン管理に対応しており、変更履歴を追跡しながらチームでファイルを利用できます。
- 一時的な配布が必要な場合は、有効期限付きの公開 URL を発行してターゲット側に配布することも可能で、テスト終了後はリンクを失効させて露出リスクを低減できます。
活用アイデア
- レポート構成の標準化:Findings Groups を用いて「ネットワーク」「Webアプリ」「AD」などの章立てを事前に決めておき、すべての案件で同じ構成を採用。
- 日本語レポートのテンプレ化:Reporting Briefs に日本語のエグゼクティブサマリーや免責事項を登録し、新人メンバーでも一定品質のレポートを短時間で作成できる体制を構築。
- 閉域網・高セキュリティ環境での活用:File Shares をオンプレで利用し、インターネット接続が制限された環境でも、第三者サービスに頼らずファイル配布と回収を完結させる。
- 既存テンプレートとの連携:既に Word ベースのレポートテンプレートをお持ちの場合でも、Findings Groups や Reporting Briefs と連携する形で段階的に移行することが可能です。
まとめ
v2.5 のポイントは、ファインディングの構造化(Findings Groups)・レポート文章の再利用(Reporting Briefs)・安全なファイル運用(File Shares)です。
まずは影響範囲の小さい1つの案件を選び、グルーピングと Brief の導入を試しつつ、レポート作成時間やレビュー工数の変化を計測してみることをおすすめします。
当ブログでは今後も、PenTest.WS をはじめとした各種製品をさらに便利に使いこなすための情報を発信してまいります。
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