目次
はじめに
業務システムのデータ画面は、単に「一覧を表示する」だけでは終わりません。
現場では、計算・検算・差分チェック・集計・可視化までを“その場で”行いたい場面が多く、
Web画面で足りない部分があると、結局Excelへエクスポートして加工する運用が残りがちです。
そこで重要になるのが、Web画面側にExcelライクな操作性と分析体験を持たせ、
「画面で完結する」状態へ近づけることです。
本記事では、AG Grid Enterpriseの機能を使って“脱Excel”を進めるポイントを整理します。
課題:エクスポート→Excelで再計算→結果を戻す
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二重管理が発生する:
WebとExcelで同じ数字を扱うため、更新漏れ・転記ミスが起きやすくなります。 -
属人化しやすい:
“誰かのExcel”に計算式と手順が蓄積し、引き継ぎコストが増えます。 -
開発待ちが増える:
「この列を計算したい」「この条件で抽出したい」が頻繁に出るほど、改修依頼がボトルネックになります。
解決の方向性:Web画面で“計算・検算・分析”を完結させる
1:セル内数式(Formulas)で“Excel的な計算”を画面に寄せる
Formulasは、スプレッドシートのようにセルへ数式を入力し、
他セル参照・関数・演算子を使って動的に計算できる機能です。
これにより、見積・予算・原価・差分など、Excelでやっていた計算をUI上に寄せやすくなります。
- 現場が自分で計算できる:軽微な分析・加工のために改修依頼を出さなくて済む
- 意思決定が速い:その場で数字を作って検証できる
- 脱Excelの現実解:使い勝手を落とさずWebへ移行しやすい
また、標準の関数で足りない場合に備えて、要件に合わせたカスタム関数を用意するなど、拡張も可能です。
2:絶対値ソートで“乖離・異常値”を見つけやすくする
絶対値ソートは、プラス/マイナスの符号に左右されず、数値の大きさ(振れ幅)で並べ替えられます。
「前年差」「誤差」「変動幅」など、方向よりも“どれだけズレたか”が重要な場面で有効です。
- 監査:乖離の大きい行からレビュー
- 品質:誤差の大きい箇所から原因調査
- 売上分析:変動幅の大きい商品・地域を抽出
3:列選択で“まとめて分析/可視化”を速くする
列単位で一括選択できると、コピー・加工・可視化などのまとめて操作が一気に楽になります。
データが多いほど、選択操作の改善が“体感”に効いてきます。
4:フィルタ/エクスポート時オーバーレイで“待ち時間UX”を改善
大規模データでは、フィルタ適用やエクスポートが長引くことがあります。
その際にオーバーレイ(処理中表示)を出せると、ユーザーは状況を理解でき、
誤操作や離脱を減らせます。表示はカスタムできるため、処理内容や案内文も整備しやすくなります。
失敗しない評価(PoC)の進め方
PoCで重要なのは、機能を広く試すことよりも、Excelに戻る理由を1つ潰すことです。
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ステップ1:ユースケースを1つに絞る
例:見積の計算列を画面内で完結(Formulas)/乖離抽出(絶対値ソート) -
ステップ2:KPIを先に置く
例:Excel出力回数、手戻り回数、承認までの時間、エクスポート待ちの離脱 -
ステップ3:運用ルール(編集範囲・権限)を決める
数式入力や編集可能列を決めると、本番の想定が具体化します。
実務での活用アイデア
- 見積・予算・原価:小計、粗利、差分、税などを画面内で計算し、承認フローを短縮
- 監査・検算:乖離(誤差)の大きい行から優先レビューし、調査の初速を上げる
- 現場のセルフサービス分析:列選択+コピー/加工で、軽い分析を開発待ちにしない
- 大規模データの運用UX:処理中オーバーレイで「待つ」体験を迷わせない
まとめ
脱Excelを進める鍵は、Web画面に計算(Formulas)と
分析・監査に効く操作(絶対値ソート、列選択)、
そして待ち時間UX(オーバーレイ)を揃えることです。
まずは「Excelに戻っている作業」を1つ選び、PoCで効果を見える化するのがおすすめです。
当ブログでは今後も、業務UIを“実務で回る形”に落とすためのポイントを発信していきます。ぜひブックマークして最新記事をお見逃しなく!