目次
はじめに
企業チャットの“安全性”は暗号化だけで完結しません。
本記事では、安全な業務チャットを成立させる5原則を、Rocket.Chatでの実装ポイントと合わせて解説します。
オンプレミス/プライベートクラウド運用、データ主権、監査可能性、モバイル統制など——機能と運用を両輪で整える実践ガイドです。
安全な業務チャットの考え方
セキュリティは「機能(プロダクト)×運用(ポリシー/教育)」の掛け算です。
たとえば、テキストは任意でE2E暗号化を適用できます。一方で音声/ビデオ通話は転送経路の暗号化が中心で、誤送信・誤共有・撮影といった人的リスクは運用ルールと監査で抑え込みます。
さらに、オンプレミス/プライベートクラウドというデプロイ選択でデータ主権を担保しつつ、RBACや保持ポリシーで情報ライフサイクルを統制することが重要です。
安全な業務チャットの5原則(実装ポイント)
原則1:最小権限(RBAC)とSSO統合
- やること:部門/職務に応じた最小権限ロールを設計し、SSO(SAML/OAuth/LDAP)で一元認証。
- Rocket.Chatで:RBACで権限粒度を調整、ゲスト/外部ユーザーは期間限定ロールに。MFAも併用。
- ポイント:許可は「必要最低限」。招待・ファイルDL・外部共有はロールで明確に線引き。
原則2:保持・削除ポリシーの徹底
- やること:チャネル/DM/添付の保持期限と自動削除を定義(法令・監査要件に合わせる)。
- Rocket.Chatで:Pro/Enterpriseの保持ルールで期間・対象を制御、エクスポートとバックアップ運用を整備。
- ポイント:「保存し続ける」より「必要期限で消す」がリスク低減に直結。
原則3:監査可能性と可視化
- やること:監査ログ(ログイン/権限変更/メッセージ操作/外部共有)とアラート監視を常時有効に。
- Rocket.Chatで:監査ログ出力とSIEM/ログ基盤連携、チャネル命名規則で検索性・可視性も改善。
- ポイント:「誰が・何を・いつ」残すことで、事後調査・説明責任を担保。
原則4:端末/モバイル運用の統制
- やること:MDM/EMMでパスコード・画面ロック・コピー制御を適用。共有端末/私物端末はポリシー分離。
- Rocket.Chatで:モバイルアプリ利用時はSSO+MFA、URL制限やVPN経由などネットワーク制御と併用。
- ポイント:“安全なアプリ”と“安全な端末運用”はセット。紛失・盗難時の手順を定型化。
原則5:ユーザー教育と誤送信対策
- やること:招待・転送・メンション・スクショの扱い、機密区分ラベル、誤送信の一次対応を周知。
- Rocket.Chatで:機密情報は限定チャンネルに集約、固定メッセージ/ガイドで運用ルールを常に可視化。
- ポイント:“わかりやすいルール”の提示と“繰り返しの啓発”が最短距離のリスク低減。
活用アイデア
- 定型フローの作成:「機密案件の開始→限定チャンネル自動作成→既定ロール付与→保持ルール適用→監査ログ確認」のテンプレ化。
- チャネル設計の標準化:「dept-」/「proj-」/「ext-」などの命名規則で可視性と権限設計を両立。
- 外部コラボの安全化:ゲストは期限付き・アップロード制限・閲覧専用で運用。終了時は自動失効。
- 法令/規程へのトレース:保持・監査・アクセス制御と社内規程/監査基準をマッピングし、変更履歴を管理。
まとめ
安全な業務チャットは、RBAC/SSO・保持ポリシー・監査・端末運用・教育の5原則で堅牢化できます。
Rocket.Chatはオンプレミス/プライベートクラウドに対応し、データ主権を保ちながらこれらの原則を実装可能です。
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