概要
Cedrus SuperLab は、心理学・神経科学の実験をコード不要で構築・実行・記録できる研究グレードの刺激提示ソフトウェアです。テキスト/画像/音声/動画に加え、self-paced reading(SPR) や RSVP などのパラダイムをサポートし、TTL やシリアル等によるイベントマーカー送出で各種計測システムと同期できます。リスト/サブリスト、ランダム化、パラメータ、ルール、ループガード、タグ、フィードバックなどのGUI機能により、複雑な設計でもスクリプトの保守が不要です。反応はミリ秒精度でタブ区切りテキストとして保存され、既存の分析パイプラインにそのまま組み込めます。
SuperLab は Windows と macOS に対応し、片方で作成した実験をもう片方で実行できます。配布や運用面では、2ライセンス以上保有時のライセンス貸与(leasing)、編集不可の実行専用(run-only)ライセンスを備えています。30日間の評価版は製品版と同等の機能で保存も可能ですが、データ収集のみ無効化されています。
無償コンパニオンアプリの Data Viewer は、QCと前処理を効率化します。複数ファイルの同時閲覧、要約統計、マージ+転置、そして(例:±3SD などの閾値での)外れ値フラグを提供し、統計ソフトに適した形でエクスポートできます。
分散研究に向けた SuperLab Cloud では、デスクトップから発行し、参加者にタスクを配信し、収集データをZIPで受け取れます。アプリ内のダッシュボードで進捗を把握でき、Delegates(委任ユーザー) を割り当てて共同運用が可能。AWS基盤で稼働し、ストレージ容量の範囲内で実験・参加者数に上限はなく、匿名参加オプションにも対応します。
より深いラボ統合が必要な場合は SuperLab X6 を選べます。Tobii のライブ連携(注視依存デザイン、オンザフライ校正、エミュレータ)、Lab Streaming Layer(LSL) 対応、BIOPAC AcqKnowledge との Ethernet 連携(試行名・刺激ファイル名などのリッチな文字列送出)に対応。ライフタイムアップグレードと2年間の SuperLab Cloud が含まれます。
v6.3 以降はイベントマーカーのデジタル出力が非ブロッキング(非同期)化され、自動イベントマーカー(RSVP/SPR の各セグメントなど)も追加されました。旧バージョンと比較したタイミング特性の差分管理に有用です。
製品概要と提供価値
SuperLab は、実験心理学、認知神経科学、心理言語学、HCI/UX、学術・企業の行動研究向けの刺激提示ソフトウェアです。プログラミング不要で高度な実験を構築し、Windows/macOS で展開、分析に適したデータをラボ・教室・グローバルな参加者プールから収集できます。
- 厳密性とスピードを両立:試行構造・刺激・ランダム化・フィードバック・条件分岐をGUIで設計。
- 高品質データの収集:ミリ秒精度の反応をタブ区切りで保存し、Data Viewer で外れ値フラグ/要約/マージ/転置。
- どこでも展開:Mac/Windows どちらで作っても両OSで実行。オンサイト/SuperLab Cloud の双方に対応。
- スケール運用:ライセンス貸与、実行専用ライセンス、Cloud の Delegates で現場の運用実態に適合。
製品紹介
SuperLabとは
SuperLab は(オプションのクラウド機能を備えた)デスクトップアプリケーションで、実験を構築・実行・記録します。テキスト/画像/音声/動画に加え SPR/RSVP をサポートし、TTL/シリアル等でイベントマーカーを送出できます。
対象ユーザー
- 心理・言語・神経・人間工学などの学術ラボ
- 反応時間指標を用いる 企業R&D/UXリサーチ
- EEG/ERP・アイトラッキング等で厳密な同期と監査可能なデータパイプラインを要する臨床・病院研究
選ばれる理由
- 高度設計でもスクリプト不要(リスト/サブリスト/パラメータ/ルール/ループガード/タグ/フィードバック)
- Windows/macOS でのクロスプラットフォーム作成・実行
- オープンなデータ形式と無償 Data Viewer によるQCとマージ
- クラウド発行で遠隔実験、Delegates による共有運用
- X6 で LSL・アイトラッキング・BIOPAC 連携を追加
主な機能
刺激提示と応答のサポート
- 刺激:テキスト、画像、音声、動画、SPR、テキストRSVP
- 入力:キーボード、マウス、マイク(ボイスキー)、テキスト入力、Go/No-Go
- イベントマーカー:TTL/シリアルで記録系と同期(必要に応じて周辺機器を併用)
コード不要の試行ロジックと設計力
- ランダム化:1段/2段、実験単位/参加者グループ単位、リスト間のペア/非ペア/クロス
- 試行内操作:位置・色・呈示時間のランダム化、視覚閾値の事前定義、ルール駆動の進行
- リスト/サブリスト:タグ付け、分割、リスト間の同期
- パラメータ/ルール:ムービングウィンドウ、カウンタ、条件分岐をメニュー操作で
- ループガード:空ループ停止を自動防止
- 参加者グループ/タグ:ブロックの出し分け、データへのタグ書き込み
- フィードバック/分岐:反応やRTに応じた再提示・パラメータ更新・フィードバック
データ処理とパイプライン適合
- タブ区切りテキストに反応時間(RT)等を保存し、Excel/SPSS/R/Python で解析
- Data Viewer:複数ファイル同時表示、要約統計、マージ+転置、外れ値フラグの自動付与
クロスプラットフォームの作成と実行
- macOS または Windows で作成し、どちらのOSでも実行
- 現行 SuperLab 6(v6.5.3) の要件例:macOS 10.14+/Windows 7/8/10/11(最新はダウンロード情報をご確認ください)
クラウド対応の多拠点研究(オプション)
- デスクトップから発行し、参加者は Task Player でタスク実行、結果はZIPでアカウントに集約
- 基盤は AWS
- Delegates:サブスクリプションを同僚・学生と共有(各Delegateに個別ストレージ)
- 実験・参加者数の上限なし(ストレージ容量の範囲内)、匿名参加オプションあり
X6エディション
- LSL によるイベントストリーミング
- BIOPAC AcqKnowledge(Ethernet):試行名・刺激ファイル名などのリッチな文字列送出
- Tobii アイトラッカー:注視依存デザイン、オンザフライ校正、エミュレータ
- ライフタイムアップグレードと2年間の SuperLab Cloud を同梱
イベントマーカーのタイミング改善(v6.3+)
- 非同期デジタル出力:SuperLab が非ブロッキングのTTLパルスを要求し、装置側で制御・解除。従来のブロッキング動作に比べタイミング特性を改善
- 自動イベントマーカー:RSVP/SPR 含む各セグメント単位のマーカーをメニューで有効化
導入メリット
情報システム/ITガバナンス向け
- OS柔軟性:混在フリートでも統一運用しやすく、入替時の再イメージ負荷を軽減
- シンプル導入:OSごとに1インストーラ、30日評価版で検証(保存可・収集不可)
- ライセンス制御:貸与(leasing) と 実行専用がラボ/授業の実情に適合
- オープンログ:タブ区切りでベンダーロックインを回避し、アーカイブ容易
研究リーダー/方法論担当向け
- ノーコードで高機能:ランダム化・パラメータ・ルール・タグをGUIで
- 再利用可能な部品化:リスト/サブリストで多条件研究を堅牢にスケール
- クラウドでスループット向上:一度の発行で広域収集、ZIP一括取得、Delegates でコホート運用
- ハード非依存のシグナリング:TTL/シリアルに加え、LSL と BIOPAC で豊かなメタデータ連携
コンプライアンス/再現性
- 透明なファイル形式 と 設定の記録 が再現性と監査性を担保
- EULAの明確性:同時利用のシンプルな規約、仮想環境(VM)へのインストール不可
- バージョン管理:非同期出力などの変更点が文書化され、長期プロトコルの整合性を維持
ユースケース
心理言語学(SPR/RSVP)
- リストベースで SPR や RSVP を構築し、セグメントタグ付けやルールでペース/分岐を制御。必要に応じて自動イベントマーカーをセグメント単位で有効化
- セグメントごとのRTを出力し、Data Viewer で参加者横断のクイックスクリーニング
認知制御・注意(例:Stroop)
- Stroop、Posnerキューイング、Sternberg記憶探索 などのクラシック実験テンプレートから素早く授業/ベースラインを立ち上げ
精神生理・神経科学(EEG/ERP)
- TTL/シリアルで厳密なイベント同期。X6 では LSL や BIOPAC(Ethernet) でリッチなメタデータを付与
アイトラッキング(注視依存デザイン)
- X6 でオンザフライ校正、AOIゲート試行の構築、エミュレータでハード不在時も設計を継続。視線データのストリーミング記録が可能
UX/HCI・応用研究
- 複数刺激を組み合わせ、UIバリアントをランダム化。RT/正確度を記録し、タグで下流分析へ受け渡し
分散・多拠点データ収集
- SuperLab Cloud で発行し Delegates を割当て。ストレージ範囲内で広く収集し、匿名フローも選択可能
競合比較
多くの選択肢が高精度な刺激提示と反応計測を実現します。SuperLab の価値は、次の“組み合わせ”にあります。
- ノーコード設計:複雑なランダム化や条件分岐をGUIで実現。コード中心のツール群に比べ、設計・レビュー・保守の負荷を抑制。
- クロスプラットフォーム実行:単一OS前提の製品群に対し、Mac/Windows 混在環境でもオーサリングと実行を柔軟に配置。
- 統合クラウド運用:外部配布や参加者管理を前提としない従来手法に比べ、クラウド発行・委任・ZIP収集・ダッシュボード監視をワークフローに統合。
- 商用サポートと長期継続性:コミュニティ主導の自由度や拡張性を尊重しつつも、導入・教育・運用面での一貫したサポートとバージョン行動の明確化を提供。
導入・アーキテクチャ・ガバナンス
対応プラットフォーム
- 実験は OS間で可搬(片方で作成、もう片方で実行)
- Data Viewer は macOS/Windows 版を提供
データフローと相互運用性
- タブ区切りログ+Data Viewer のマージ/転置で前処理を簡素化
- Cloud はZIPアーカイブで収集データを集約し、ダッシュボードで進捗を可視化
FAQ
Q1. 仮想マシン(Parallels/VMwareなど)で動作しますか?
A. いいえ。 EULA により 仮想環境へのインストールは禁止です。
Q2. プログラミングは必要ですか?
A. 不要です。 リスト、パラメータ、ルール、ループガード、タグ、フィードバックで複雑な実験をGUIで構築できます。
Q3. データ保存形式は?
A. タブ区切りテキストで反応時間などを保存します。Data Viewer で外れ値フラグ、要約、マージ/転置が可能です。
Q4. 他の一般的なツールと比べた特徴は?
A. 一般に、コード中心のツールは柔軟性が高い一方でスクリプト運用の負担が生じやすく、単一OS前提の製品は運用環境が限定されがちです。SuperLab はノーコード設計、クロスプラットフォーム実行、統合クラウド運用、および商用サポートの組み合わせで、設計から展開・収集までの摩擦を低減します。

メーカーの製品サイト
https://cedrus.com/superlab/
SuperLab Q&A
【言語】英語
【動作環境】Windows、Mac



